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人間と人生を味わい尽くす~神山典士作品集

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音楽、スポーツ、演劇、芸能、ビジネス、料理等、あらゆるジャンルの人間ドラマを描くノンフィクション作家神山典士作品集
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#職人技

TheBazaarExpress73、伝統と継承・職人の世界、その1~小樽ガラス、樺細工(秋田)、南部鉄器(盛岡)、ビスポーク靴(宮城県加美町)、桐箪笥(新潟県加茂市)

『小樽ガラス』

そのガラスのコップには、大小様々な空気の粒が泡状にまぶされている。長い鉄パイプの先に溶けたガラス玉を巻き付け、息を吹き込む宙吹き工法。その工程でガラス生地にわざと空気を入れ独特の風合いを醸し出す。本来嫌われる泡を風味としてデザイン化したところに、ガラス工芸作家・浅原千代治のセンスが香る。

「でも他の人の泡と僕のは違うんですよ。できあがりを計算してるし、泡が何重にもなっているで

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TheBazaarExpress57、古都金沢の暮らしを支える職人技~山口智子と金沢編

 その時、冬の北陸の厚い雲がスッと動いて、鮮やかな陽光が兼六園近くの巨大な海鼠壁を照らした。山口智子が呟く。

「綺麗! 屋根瓦の影と漆喰の白の対比が絶妙! この壁はちゃんと天から射す光を考えてつくられていたんですね」

 冬の古都・金沢。この地に息づく職人の手技と人々の暮らしの様を訪ねて、山口はやってきた。その目の前で展開された漆喰の壁と光の美しいアンサンブル。それは、この街に確かな職人技とそれ

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TheBazaarExpress52、素性を選び抜かれた素材の力~手作り桶「桶栄」編

「そうか、桶栄さんの桶はそんなに繊細なんだ---」

 今年二月。東京ドームを会場とするテーブルウエア・フェスティバルを取り仕切る代理店の担当者、佐藤雄太は改めてそう驚いた記憶がある。

「ドーム内の湿度は何%ですか」

 開幕を前に商品のセッティングを終えた桶栄四代目、川又勝美がそう訊ねてきたからだ。

 無理もない。今年で十四回目となるこのイヴェントは、主にテーブルの上を飾る世界の陶磁器を中心

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