音沙汰なし
遠くに離れた人を思う
親を亡くして
もう十年
「うちの両親、だら(馬鹿)だねか」
そう言って冷静に親のことを見てる人
親にも姉にも見捨てられ
少しかわいそうって思うけど
その生き方は奔放だよ
誰に似たの?
父と母との掛け合わせが悪いのか…
親の悪いところをいっぱいもらう
わたしのことを傷つけて
平気な顔
「姉ちゃんに電話をしてもプチんと切られる」
「姉ちゃんが病院に入院すればいい」
それは私も同感だ
私も時折おやさまのCDを作って送る
神さまのご神水も送ってくれ、あれもこれもとすぐに図に乗る
OT(作業療法)で作る小物も誰にも送る相手がいないからと良く送ってくる
春先には力作の手作りバッグが送られてきた
心を込めて作ったものと分かるから有り難く受け取る
良く手紙を書いて送ってくる
ところがここ二ヶ月くらい音沙汰が無い、はたと気づく
私もまだまだ立ち上がれない
少しだけ周りは変わってきてるのに
相変わらず落ち込むとずっと穴の中
彼女のことを忘れていた
二年前には肺がんの手術をする
ちょうど母が彼方の世界に戻った頃
人生にはいろいろなことがある
彼女はそれでも生きたいという
自由になりたいと希望を持って生きている
私には分からない
生きたいと言う思いより
いつもいつも心の中では母に「迎えに来て」と叫ぶだけだから
私の側には誰もいない
もしかして彼女はもうこの世にいないのかも、ふとそんな思いが過ぎってくる
恐る恐る病院に連絡をすると担当のワーカーさんが「元気です」と教えてくれた
少しホッとする
病棟のピンク電話にかけてみると
相変わらずの声が聞こえる
いつもはウザい思っていても
わがままばかりを言って来ても
いなくなるのはさみしいな
「またCDを送っていい?」
「うん、私もまた手紙を書くよ」
音沙汰が無いのはいいようで怖い
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