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【全文公開】 CHAPTER 2-03 生態のデザインを観察する 大人の自由研究

デザイン読書日和」という同人誌即売会&交流会で出典した『 田舎暮らしを科学する仕事っぽくないデザイン』(¥300)全60Pのスローライフエッセイ、全文公開チャンレジです。

今回は、子供の頃においてきた視点の再回収である昆虫採集と生態観察の楽しさについて語った、CHAPTER 2-03 生態のデザインを観察する 大人の自由研究の記事公開です。

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CHAPTER 2-03 生態のデザインを観察する〜大人の自由研究〜生態のデザインを観察する〜大人の自由研究〜

本書の裏コンセプトでもある昆虫の生態に学ぶデザイン行為。先人の学者が幾度「なぜ」を繰り返しても未だに謎の多い世界です。子供の頃、公園で虫取りをしたあと種類を調べるために図鑑を開いていましたが、大人になって改めて一歩踏み込んだ探求の愉しみ方があります。

CHAPTER 2-03-01 身近な生態のデザインをじっくり観察してみよう

昆虫の体の構造はどうなっているのか、冬はどこにいるのか、どうやって声を発しているのか。その生態を観察して紐解けば、いかに昆虫が世の中の常識的なパターンから逸したデザインなのかということがわかる。
私たち人間がやっている行動や、築いてきた社会・文明によって生じた物事は、ほとんど昆虫が先んじておこなっています。。狩猟採集、農業、牧畜、建築、そして戦争から奴隷制、共生に至るまで、彼らはあらゆることを先取りしてきました。普段私たち身の回りに反映している小さな生き物たちがいかにキテレツで刺激的な洞察をもたらしてくれる存在か、目を向けてみましょう。

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図 : 昆虫採集用の投稿キット 灯火総研

CHAPTER 2-03-02 クワガタの大あご、大きさの謎に学ぶ強者生存と適者生存の捉え方

クワガタの大あごなど甲虫の「武器」の大きさは幼虫時代の栄養状態で決まる。この仕組が明らかになったのはつい最近で、東京大のチームが発表したものです。環境に応じて遺伝子の働きを調節する「エピゲノム」と呼ばれる現象です。栄養が良く、体が大きいと闘争に勝てるよう武器を巨大化させ、逆に栄養が悪くて大きくなれないと武器の代わりに羽を発達させ移動能力を高めるなど、遺伝子の突然変異を待たず、環境に応じた適切な形を作り出すことで昆虫のサバイブ能力の高さを感じさせます。

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参照 : 小沢高嶺・東大特任研究所

CHAPTER 2-03-03 でっかいカナブンのブリーディングを通して色彩変異と構造美を研究する

クビワオオツノカナブン(通称トルクアータ)とよばれる昆虫の飼育を始めました。この種はアフリカ最大のカナブンと称され、色彩変異の多様性からアフリカの宝石と呼ばれるブリーダーには人気の高い種類です。
オスは角があり約55〜85mm。基本色は緑色で、鞘翅に白っぽい模様があるのが特徴で、幼虫でも雄で約80mmになるので日本のカブトムシ並みのサイズになります。原種は主にコンゴ民主共和国、カメルーン、ウガンダの熱帯アフリカに生息しています。通称トルクアータと呼ばれ大きな昆虫少年たちを虜にしています。
原種は深い鮮やかな緑の個体ですが、亜種や交配の掛け合わせすると赤みがかったメタリックな光沢をもつ個体も現れます。

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図 : アフリカ原産の大きなカナブン「トルクアータ」

CHAPTER 2-03-04 観察を記録する標本づくり クリスタルレジンは時を止める魔法

昆虫の標本にもいろいろと方法がありますが、その中でもクリスタルレジン(樹脂コーティング)による加工は磨き方次第で時を閉じ込めたような美しい表現で保存することができます。
外気に触れないため劣化が少ないので重宝します。ブロックのようにつむことで神秘的な雰囲気を醸し出しますね。
一般的に昆虫標本は、酢酸エチルなど薬剤でしめたり防虫加工をしなければ年月と共に徐々に酸化や分解が進んで大変なことになりますがこの手法ではかなり長期にわたって状態良く保存することができます。

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図 : セミの抜け殻を試験的にレジンで標本にした様子

まとめ

本書籍の裏主人公でもある昆虫たちについて、筆者が熱く語った説でオタク完全開の内容でした。

今でさえインターネットで様々な情報にアクセスできるから生態観察を通して得られる洞察が増えました。分厚くて高い本を持ち歩かなくてもスマホ片手にその生態の名前が何なのかまで詳細にわかる便利な世の中です。

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それでも、目で見て触れてでしか感じ得ない自然フィールドワークの醍醐味がそこにはあるのです。

次回に続く。@norinity1103でした。

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Noriaki Kawanishi
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