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ジャイサルメール城【インド#6】

ラジャスタン州の旅をジャイサルメールから始めることにした。

ジャイサルメールに着いたときは体調がボロボロだったので、しばらくは、すぐそこに見えるとてつもなく大きな城を、外から眺めるばかりだった。
時折、ヒロシに城を眺められる場所に連れて行ってもらってボーッと眺めることを続け、体調が回復してきた頃に、1人で城に行ってみることにした。

外から見るジャイサルメール城。
どの時間帯も美しい。


ジャイサルメール城内へ


城へは、泊まっている宿から徒歩5分くらいで行けた。
入場は無料。
なぜなら、城とはいえ、そこに今も住んでいる人々も多く、店もレストランもホテルもある。
現在も生きている城とも言えるのであった。

パキスタンとの国境近くにあり、タール砂漠の中央部にあるオアシス都市のような場所、ジャイサルメール。
宿のオーナーやヒロシからの話によると、シルクロードの中継地点で、ダイヤモンド等の商売で儲けた人たちが、ここにハヴェリと呼ばれる大邸宅を建てたりしたらしい。
ハヴェリの中に入る元気がなくてその宝石類を見ることはできなかったが、シルクロードがここを通っていたのか、と想像すると果てしないロマンを感じてしまった。

町から見たジャイサルメールフォート
入り口

噂通り、たくさんの店が並ぶ。
少しツーリスティックな印象。

城からの眺めも良かった。
マハラジャがここから町を見下ろしていたのかと思うと、面白い。
昔から、どこの国の人も、偉くなったり権力を持つと、物理的な意味でも上から人を見下ろしたくなるのだろうか。
私はマンションの9階に住んでいるが、地震でエレベーターが止まって絶望して以来、2階に移りたいくらいなのに。
それはさておき。

ジャイナ教の寺院。
インドを何度も旅しているが、ヒンドゥー教とイスラム教、シーク教の寺には何度も行ったことがあるが、ジャイナ教は縁がなかったので、実際に近くで見るのは初めてかもしれない。
こちらも鳩のフンだらけと体調が万全でなかったこともあり、中には入らなかった。
外観だけじっくりと見学。
細かな彫刻が美しかった。

日を改めて、陽が落ちる時間帯にあわせて城に再訪。
ジャイサルメールはその名の通り、ゴールデンシティーだなと実感する景色であった。
だが、正直、城は外から眺める方が好きだなと思った。
こういう考えでは、王にはなれない。
美しくて大きなものは外から眺めて憧れる。それが一番いいような気がした庶民代表の私。
しかし、それは私が城に入ったから思えることであって、やはりそれなりに成り上がらなければいけないのか、と少し思った。
私が成り上がって城を見学できたわけではないが。


あとは、ジャイサルメール番外編。

バダバーグ、王家の墓地

ジャイサルメールから少し離れた小高い場所に、ヒンドゥー教の王室の墓地「バダ・バーグ」がある。
バダバーグはヒンドゥー教の墓地なのに、イスラム教の影響を受けて建てられているから、不思議なデザインになっている。
歴代の王やマハラジャがここに埋葬されているらしい。
風力発電の巨大な羽根が回っているのを背に、マハラジャたちが眠っているという不思議な光景。

イスラムの神アッラーにヒンドゥー教の「ジー」を語尾につけて「アラジー」というらしい。
ヒロシ談

それから町外れにある池に行って夕陽を見たりもした。



ラジャスタン州を旅していて、過去にモロッコを旅したことのある旅仲間達がみな口を揃えていうのが、ラジャスタン州はモロッコに似ている、ということ。
青の町ジョードプルは、モロッコのブルーシティ、シェフシャウエンに似ているし、ここジャイサルメールもマラケシュやサハラ砂漠の町に雰囲気が似ている。
砂漠のような過酷な環境では色鮮やかな衣装が映えるし、涼しさを感じる工夫とか生まれる文化やデザインとかが似てくるのかも知れない。またイスラム文化という共通点もあるだろう。
こういう類似性を、心理学的観点でいうと、もしかしたらユングの集合的無意識に関係しているのかなと思ったり、別の観点から、もう少し文化人類学の本を読んでこのあたりのことを知りたいなと思ったりする。
シルクロードについてももっと知りたい。

世界を旅すると分からないことや不思議なことが増えて、知りたいことが増える。
そこで終わるか更に掘るのかは自分次第。
しかし、その時の好奇心の熱すらも、旅と共に通り過ぎていってしまうのもまた現実。
いつかまた、その好奇心の箱の蓋を開ける日まで、そのままにしておこう。
そういう箱が私の中にはたくさん眠っている。
今箱にしまってそのまま眠らせるとしても、いつかまた別の旅で発掘されて、また私の好奇心が私を動かすことを期待したい。

ゴールデンシティ、ジャイサルメールの次は、ブルーシティ、ジョードプルへと移動。
青い町についてはまた次回に。


最後に番外編2

療養食inジャイサルメール

ボロボロの胃腸をいたわった食事たちの記録。
インドの洗礼にやられた人は、これをご参考にしてください。

美味しくも何ともないマッシュポテト
スチームライスにタイで買ったのりたまかけた。
これが一番頻度が多かった。
そして安定の美味しさと懐かしさ。
野菜スープ、チリ抜き、ヌードル入り。
味がしなかったのでかなり塩をかけた。
インドのインスタント麺マギーに、
日本から持ってきた鍋キューブの濃厚白湯と餅
キッチンを借りて、
湯を沸かしてぶち込んだら出来上がり。
ちからラーメン。
まだあと一個鍋キューブが残ってるから
お守りにして持っている。
ヌードルスープ。こちらもチリだけを抜いてもらったが、完全に私の好きな日清のカレーヌードル味で美味しかった。
食パンを食べられるようになった時は嬉しくて泣きかけた。でもまだ1枚しか食べられなかったり。
デリーで200円くらいで買った湯沸かし棒。
湯沸かし棒で湯を沸かしてアマノフーズで命を繋ぐ。沁みた。
あと緑茶も寝る前に飲んだ。
最終的に、インドの野菜の天ぷらパコラまで食べられるようになった。


こんなにもインド感の少ない食事写真もなかなかない。貴重である。
とにかくしばらくはチリを抜いて、油も抜いて、そして生き抜いた。
こうして復活を遂げたのである。
洗礼を受けた方は、とにかく油とチリはしばらく抜きましょう。「ヨーグルトはお腹にいい」と言う人もいますが、私の胃腸はヨーグルトも受け付けなかったので、しばらくやめた方が無難。そして薬局に行って「エレクトラル」(OS1的な粉)を買って飲んでください。洗礼後の人間からのアドバイスでした。


おかげさまで、今はカレーも食べられています。ただ、現在プシュカルという町におり、ヒンドゥー教の聖地のため、一切の肉を食べられない町なため、ベジタリアン的生活をしており、胃腸も元気なのになんでなんだ、肉を食わせろー、ともがいています。


それではまた。

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