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運命のジャイプール②【インド#18】

Noteでフォローし合っていたでんでんさんとの運命的な出会いがあり、それから、いろいろとお喋りをさせてもらった。

タイのウドンターニーで私と同じ宿に泊まったでんでんさん。
あの宿のお姉さんがめちゃくちゃいい人だった話や、ラオスのルアンパバーンではFunnyという宿に泊まったというでんでんさんに、ラオスも同じ宿なの?!とびっくりしたら同じ系列の別のFunnyだった話、お腹を壊した話、長距離バスの話などをした。
1週間ほどの差で関西から旅立った私達の2ヶ月間は、同じ場所を巡っていたり、全然違う場所を巡っていたりして面白いなあと思った。

そして更なる衝撃は、私の住む場所をでんでんさんが当てたこと。
「これ、のりまきさんに会ったら聞こうと思ってたんですけど、もしかして○○に住んでますか?」
我が町の名前をピンポイントで言ってきて、びっくりした。
当てた理由は、私が一時期マンションの話をやたらとnoteに書いていて、それを読んでくれたでんでんさんがピンときたらしい。
なんと。
名探偵でんでん。
しかし、さらに聞いてみると、でんでんさんの住んでいた場所は、私のマンションから徒歩10分の距離であった。
しかも昔住んでいた私の実家が、でんでんさんの住んでいた場所と同じ丁目だった。
これも「ええー?!」と驚きの声をあげてしまった。
ご近所さんもご近所さん。
なんならしめちゃんちからも徒歩5分圏内。
そんなことってあんの?
インドのジャイプールという町で、日本人が2人しか泊まっていないこの宿にいる2人ともが、あの狭い町からやってきたという事実。
あの駅、あのマクドナルド、あのジャパン。
インドのジャイプールであの小さな町の近所の話をするなんて、面白すぎる。
2ヶ月間旅をしてきて、出会ってゆっくり話をした日本人はでんでんさんが初めてなのだが、まさか近所の話をするとは思わなかった。
まさに運命。
何の運命?これ。
それはよく分からない悪戯感があるが、あのごちゃごちゃした町で、仕事を辞めて2022年の12月に世界一周をしようと思った女が二人いるということ。
二人ともnoteの片隅にも住んでいたこと。
そしてその女二人が約束もせずここでばったり会ったこと。
これって、割とロマンのある話だと思う。

そして私たちは旅についての話もいくつかした。
手洗いの洗濯を毎日するのが結構大変なこと。
宿を探して予約したり、バスを予約したりと毎日何かと結構忙しいこと。
TEVAサンダルがボロボロになってきたから買い直したいけど、インドにいいのがないから日本に帰りたいとか。
そしてこの2ヶ月間で私の頭の中にじわじわと浮かんできている考え。
仕事を辞めて長旅に出たものの、もしかしたら今までみたいに短め(世間一般にとっては長め)の有給休暇を使って旅に出るスタイルで十分だったのではないか。コロナのせいでそれができなくなって、その反動で長旅への思いを募らせすぎてしまい、一念発起して仕事をやめて世界一周などという長期旅に出てみたが、本当にそれで良かったのだろうかという迷い。
これについては、でんでんさんもその考えが浮かぶことがあると言い、
「でもやってみないと分からないから、やってみようと思って旅に出てよかったと思う。」ということを話されて、そうだよね、そうだよね、とちょっと心が軽くなった。

お互い人見知り同士で緊張が解けない中で、年上の女らしく頑張って「明日、晩御飯一緒に食べませんか?」と誘ったりし、でんでんさんが付き合ってくれて、ジュンさんがおいしかったと言ってオススメしてくれたレストランに行ってみた。(何でもジュンさんのオススメに従いすぎな件は置いといて。)
行ってみてびっくりしたが、そこはかなり高級レストランであった。
ビールで乾杯し、おいしいタンドリーチキンと蒸し餃子とライスを注文して食べた。

Nirosというお店。美味しかった!


そして、その帰り道にちょっと変な出会いがあった。
インド人男性のシバとヴィッキーという二人組の旅行者に声をかけられたので、少し立ち話をした。
シバと私、ヴィッキーとでんでんさんというペアで話をしていたが、途中でなぜか自然な流れでパートナーチェンジとなり、シバとでんでんさん、ヴィッキーと私のトークとなった。ほとんどシバがしゃべっていて、かなり強引だった。チャイを一緒に飲もうというかなり強引な誘いを適当に断って、別れた。
4人から2人ずつのトークに別れてパートナーチェンジした流れを、俯瞰で見ていて面白かったね、という話をしながら帰った。

また、その次の日はお互い別行動だったが、ジャイプールの町中で私が道を間違えて歩いていたおかげで、でんでんさんとばったり道端で出会い、そこから一緒にジャンタルマンタルという天体観測施設を観光した。

インド人は「R」をアールと発音するので
「Super star」は「スーペルスタル」になるし
これもジャンタルマンタルと読む。
この急斜面の延長線上に北極星がある。
太陽の光や影のラインで、色んなものが計算されて、
色んなことが弾き出される仕組みのものたち。
(ざっくりしたまとめ)
ジャンタルマンタルとはサンスクリット語で
「魔法の仕掛け」
という意味らしい。
私の中では
「ジャイプール=魔法の仕掛け」
という意味になりつつある。


そこで、私はでんでんさんに
「ねえ、あの『インド人飲み』できる?私は出来なくって。」と尋ねた。
私が「インド人飲み」と呼ぶ飲み方は、別にインド人だけではないのだけど、ペットボトルや水筒に直接口をつけないようにして、空中から水を口の中へ注ぐ飲み方のことである。
あれをやれたら、中のドリンクに唾液が混ざらないし、水筒にも口をつけないから衛生的にいいだろうし、やりたいなあと思っていたが、どうしても上手くやれず、諦めて生きてきた。
でんでんさんは「できますよ」と言って、やってみせてくれた。
なんと。
格好良い。
「私、いつもこぼすし。勇気がなくて、やれないのよ。上手くやるコツとかってある?」
と私がでんでんさんに聞いたら、
「舌を少しあげてその下のへこんでいるところに入れる感じです。そこを狙ってみてください。」
という超具体的なアドバイスをもらった。
なるほど。
私は舌はそのままで、喉の奥を狙っていたので上手くいかなかったのかも知れない。
何度かでんでん法でやってみるが、やはりこぼしてしまうし、上手くいかないし、怖くて手が震える。
「手首がポイントです。こう行く感じで。」
と手首のスナップ技を見せてくれた。
すごいな、でんでんさん。
めちゃくちゃコツが具体的で、とても分かりやすい。
この技をマスターしたら、私は旅人として1段階レベルが上がるような気がして、その時から毎日練習を重ねた。
現在、インド人飲みでんでん法を、ほぼモノにしつつあるが、まだボトルを握る時の緊張感がとれないので、回数を重ねて本物にしていきたい。
揺れるバスの中では一度も成功せずに毎回こぼしているから、揺れていない場所で今後も鍛錬を重ねたい。
このインド人飲みをやる時、舌を上に上げる時には、いつもでんでんさんを思い出す。
思い出すタイミングはどういうタイミングなのそれ、と思いつつも、インド人飲みの師匠として、これからも敬っていきたい。

そんな師匠でんでんさんとはジャンタルマンタルで別れて、それぞれまた個人行動となった。

ジャイプールはピンクシティと呼ばれているけど、実際はそんなにピンクピンクしてない。


その直後に、風の宮殿を過ぎたあたりのテキスタイル屋さんが立ち並んでいる通りで、まさかのヒロシに会った。
ジャイサルメールで出会ったあのヒロシが、900kmくらい移動してきてもまた出会うとは。
出会うというか、道の先にヒロシがいたのを私が一方的に見つけただけなので、瞬時に隠れて逆方向に走り、別の通りに変えて急ぎ足で通り過ぎた。視力が2.0で本当に良かった。
ヒロシはジャイプールで生地屋さんをしているとは言っていたが、まさかである。
しかし何?この運命感。
このご縁は全く求めていないし、アッラーの思し召しだとしたら、ヒロシが気づかなかったのは何のミスなのかと思う。アッラーの狙いがよく分からない。

まだ、ドキドキが止まらない中、お目当ての青い陶器屋さんに向かって歩いていると、「ヘイ!」と声をかけられた。
今度は、昨夜立ち話をしたシバとヴィッキーだった。
いやいや、次から次へと何なのこの運命の悪戯感。
メガネでひげの恰幅のいいヴィッキーの方は、落ち着いた雰囲気で
「こんな偶然ってないから、よければチャイでもいっしょにしようよ」
という感じだが、
「どこ行くんだ?その店に連れて行ってやるからバイクに乗りなよ。その前に一緒にチャイ飲もうよ。こういう時はチャイを飲むのが、インドのルールだよ。」
とシバの方が、唾を飛ばしながらかなりしつこい。
面倒だったので、急いでいると言って断るも、
「じゃあ夜は?また会おうよ。」
とシバがまだまだ食い下がるので、
「宿の人たちみんなと、宿の中でごはんを食べる約束をしてるから今日の夜は無理。ごめんね。明日はバスでデリーに戻るし。またどこかで会ったらチャイでもしよう。」と適当にはぐらかして、急いでその場を立ち去った。
強引で苦手なタイプなので、さっさと断って青い陶器屋さんへ向かった。
青い小皿を買って、宿に帰る途中にLINEが来た。
あ、でんでんさんだ。

「昨日の夜に会ったあの二人組に会いました。今チャイ飲んでます笑」

ええ?!
ジャイプールってそんなに狭い町でしたっけ。
なんで、でんでんさんまでまた会ってんの、あの二人と。
面白すぎる。
どういう運命なのでしょうか、これは。
しかもでんでんさんは、ちゃんとチャイを付き合ってあげている。
優しいな。
私は嘘をついて、すたこらさっさと逃げたと言うのに。

Blue pottery
小皿を買って、今から1ヶ月半前に日本に送ったが、まだ届いておらず、追跡してみたら、現在地はデリーの郵便局のままになっている。
今となれば、届くか分からない小皿。
ハワマハル(風の宮殿)
これは実はハリボテで、厚みがない。
向かいのカフェから。
昔来た時はカフェなどなかった。
意外と山が近いジャイプール。



宿に帰ってきて少し休憩した私は、ジャイプールの最後の夜だし、風の宮殿の夜のライトアップ(されてるのか定かではなかったけど何らかのライトは当たっているだろうと睨んだ)を見に行こうと思い、また町に繰り出すことにした。

トボトボと歩いていたら、道端でなんと、またあの二人組に会った。

もう笑うしかない。
ジャイプールは道が一本しかないわけじゃないが、行く先々で出会う。
「さっきまで、君の友達とチャイを飲んでたんだよ!次は君とチャイタイムだ。君の友達は15分くらいで帰るって言って、さっさと帰っていったけど、会わなかったのかい?」
「あれ?そういえば君、今夜は宿のみんなでディナーだって言ってなかったっけ?」
やばい。
早速シバに嘘がばれそうである。
そして、でんでんさん、あの二人を相手に、チャイタイムを15分で切り上げたのか。
格好良すぎる。
「そうそう、ディナーが始まるまでの空き時間に風の宮殿のライトアップだけ見てさっと帰ろうと思ってたのよ。とにかく時間がなくて。チャイを飲んでる時間もないのよ。」
と時計を見たりしてみた。
すると、シバが
「そんなに時間がないなら、僕のバイクの後ろに乗りなよ。僕達も夜景を見て回る予定だったから。ヴィッキーはいったん宿に帰るけど、風の宮殿まで僕が君をバイクに乗せて往復してあげるし。」
いい人なんだけど、ちょっと暑苦しいのである、正直。
ヴィッキーがいてくれた方が、ありがたいんだけど。
まあいいか。
夜に女一人でウロウロするよりも、この人を信用してバイクに乗った方がいいか。
そういう判断により、徒歩40分くらいの距離をバイクですっ飛ばしてもらうこととなった。
シバの運転はかなり荒かった。
シバ神様に祈りたいくらい怖かった。
「安全運転でお願いします。」
と後ろから伝えたら、
「幸運なことに、僕は僕の命が大事なんだ。だから大丈夫!」
と言って、ちょっと道路を逆送したり、ショートカットだと言ってスピードをそれほど落とさずに細い路地に回ったりして進むシバ。
そしてむちゃくちゃ喋ってくるのだが、運転に集中してほしいし、それ以上に、彼の唾が私の顔面に全てかかるから、やめてほしかった。
そんなこんなで何度も顔を拭いながら、風の宮殿に到着。
やはり予想通りライトアップしていて美しい。
私とシバはサクッと写真を数枚撮って、また元の場所まで戻った。
宿でのディナーが始まるんじゃないかと気にして、シバが帰路を急いでくれたのが少し後ろめたかった。
別れ際、
「もう3回も偶然に出会ったのだから、これからは連絡を取り合って、またどこかで会おうよ。インドで何か困ったことがあれば、いつでもどんなことでも連絡してきて。君がインドで困ったら、インド人として助けるのは当然だから。もう僕達は友達だから。」
というシバの強引さに負けて、Whatsappの番号を交換して別れた。
暑苦しくはあったが、ただただいい人だった。
ありがとう。
そして宿に戻って、それぞれがまたあの二人組に会った今日の出来事を、でんでんさんと報告しあった。
ジャイプールって狭いのかな。
そんなはずはないのだけど、そう言って笑った。

ナイト・ハワマハル!
ステンドグラスがカラフルで可愛い。

ただ通り過ぎるだけでもおかしくないあの二人組とこんなに何回も出会うなんて、とても不思議だったが、なんとなく、会う人とは何度も会うんだなぁというちょっとした悟りが開けた気がする。

でんでんさんとは翌朝に別れたが、またどこかでばったり会うかも知れない。
でんでんさんは、出会った人、出会えた人となった。
また会う人とはきっと会えるし、また会いたいなあと思い続けるのもなんかいいし、会えなくても心に残る人はずっと残るし、会いたいなぁと思えば自ら動いて引き寄せればいいし、嫌ならすたこらさっさと逆を向いて逃げればいいし、運命に任せるのもいい。

そんな風に思えたジャイプールだった。

次は、別の運命のジャイプールが、まだ続きます。

右手前の人の帽子、どこかで見た記憶。




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