ポンペイ展へ 〜そこにいた〜
プライベートでむしゃくしゃしたというか、傷つくことがあったので、平日、仕事を午後からお暇をちょうだいして京都に行ってきた。大雨の日に。
途中でワークマンでレインパーカーを買ったら雨が止んだ。
脱いだら降り出して、着たら止む。雨の日あるあるを楽しみながらの京都。
京都の景観を壊さないお店シリーズの中でもここの餃子の王将の地味さは結構好きである。
今回の京都のお目当ては「ポンペイ展」
久しぶりに来た平安神宮のそばの京都市美術館は京セラ美術館という名前に変わっていた。
「雨の日の美術館」はかなり好きな組み合わせである。自分がアートに精通している人間な気がしてちょっぴり高尚な気分になる。
傷ついた心に雨の日の美術館はちょうど良かったりする。
スペイン、ビルバオのグッゲンハイム美術館も今日と同じくらい一日中雨だったなあとか、スタンと食べたクロケットを思い出したりなんかして。
ポンペイ展は前々から興味があったところに、こないだの有吉の世界同時中継のスペシャルでポンペイから中継をしていて、ワクワクした。
それから、Amazon primeで映画「ポンペイ」を久しぶりにもう一度見て(相変わらずラブストーリーとしては陳腐だけどポンペイのドキュメンタリーとして見れば面白かった)、ゴールデンウィーク中からもう気分はポンペイだった。
私にとってイタリアのポンペイとナポリは、まだ行ったことはないが、特別な場所である。
今はもうこの世にいない大正生まれだった祖父は、「ナポリを見て死ねって言葉はほんまやぞ」が口癖だった。
祖父母の家で育ててもらった私に、祖父も祖母もいつも優しくて、楽しい話をいっぱいしたのだが、海外を何度も旅したことがある祖父は、私が子供の頃からとりわけよく旅の話をしてくれた。
ハワイや台湾、アメリカなど、どこの国の話をしていても、いつも大体後半はイタリアのナポリがいかに美しかったかの話になった。
そして、必ずポンペイの話もしてくれた。
火山の噴火で一夜にして火山灰に埋まった古代都市ポンペイの話を、まるで悲しいおとぎ話や昔話のように、子供の私は聞いていた。
灰に埋まった町がある時発見されて、今も発掘調査中で、ポンペイの最期の日の様子がありありと分かるような石膏で復元された遺体や装飾品、ローマ時代の遺跡の話など、祖父がポンペイで見てきたものの話が何度聞いても興味深かった。
「イタリアに行くことがあったら、ナポリとポンペイへは必ず行ってこいよ」と祖父が私に何度もそう言っていて約束もしたのに、なぜかこれまでのイタリアの旅でも、ローマ、フィレンツェには行ったものの、ナポリとポンペイにはまだ行けていない。
次にイタリアに行く時には必ずポンペイに行こうと心には決めているがいつも忘れてたり選択肢から外れたりしてしまう。
おじいちゃん、ごめん。
祖父の誕生日に有吉の世界同時中継のポンペイスペシャルが放送されたので、これは来年の旅で必ず行かなければいけないなと固く誓った。ポンペイが呼んでいる、祖父が呼んでいる。
そう思って、ちょうど関西(京都)に来ていたポンペイ展を見に行くことにしたのである。
いつもながら前置きが長いが、ポンペイについて話す時、祖父の話をしないと始められないと思ったので。
おじいちゃん、私はしっかり覚えてるよ。
さて。
ポンペイ展へ。
行きつけの金券ショップで安くで買っておいたチケットを持って、ネットで時間予約をしてから臨んだ。
入ってすぐに見たヴェスヴィオ火山の噴火前の姿を表したモザイク画。
現在のヴェスヴィオ火山は噴火のせいで上の方がもう無くなっているが、絵にはきちんと残されている。
ちなみにこのポンペイ展は撮影OK。
写真は撮ったが、夢中になって一つずつを見たので、途中から写真を撮るのを忘れた。
それにしても、西暦79年と言えば、日本はヒエやアワやどんぐりを食べたり、高床式倉庫とか卑弥呼とかそんな時代(なけなしの私の日本史の弥生時代の知識)だったのに、古代ローマではモザイクなどの美術品、真珠を使ったイヤリング、食器や医療器具など、今と遜色ない文明があったとは。
古代ローマはやっぱり偉大だなあと思える。
そして話題の、炭化されたパン。
これをモチーフにしたグッズが色々と展開されていた。
キャラクターとかクッションとか指輪とか。
もちろんどれも買ってない。
有吉の番組でも取り上げられていたが、何より驚いたのが犬。
もう2000年前にはペットとして犬を飼ってて、ちゃんとリードをつけていた。
そして玄関に「猛犬注意」という注意書きを書いた犬の絵のモザイク画を作っていたりとか。
有吉の番組では横断歩道まであったというから、古代ローマって本当にすごい。
まあそれでも、こんなに遅れていた日本も逆によく追いついたなと思ったりして。
「そこにいた」というテーマで、ポンペイの世界が広がっていた。
こんなにも日本のポンペイ展にいろんなものを持ってきたら、ナポリ国立考古学博物館は今すっからかんなんじゃないのかと心配になるレベル。
祖父がナポリに行った時はたくさんナポリの博物館にポンペイの遺跡の遺物があったのだろうし、きっと祖父は同じものをナポリやポンペイで見たのだと思う。
祖父も確かに「そこにいた」のだなあと思う。
来年こそ、祖父が訪れたナポリとポンペイに足を運んで、私もそこにいたいと思う。
さて。
ここまで来たので、もう一つ、京都のこのあたりの私のお気に入りの場所まで散歩しようと思う。
続く