山逢いのホテルで 御社のチャラ男 ゲンズブールナイト2024 ファイヤーヨーコ ロボット・ドリームズ(再度)
ジャンヌ・バリバールでしょう!ある映画評で、女優にもう少し魅力があれば、、とあったけれど、贔屓目を差し引いたとしても、中年の孤独な女性の、複雑であろう内面を微妙に、艶かしくも淡々と、且つ愛も表現できるジャンヌ・バリバールには、私はそれはそれは惹かれましたよ。鑑賞後に、映画とジャンヌ・バリバールの魅力にやられて、しばし呆然としてしまった。
ジャンヌ・バリバールを知ったのは、マテュー・アマルリュックと共演した「そして僕は恋をする」(アルノー・デプレシャン監督。1996年。フランス映画)でのショートカットでクールで大人のパリジェンヌを演じていた30年近く前!当時パリに住んでいたのでリアルタイムでパリで観て、ほぼ同年代ということもあって、それから首っ丈の忘れられない女優さんになった(私生活では、ジャンヌ・バリバールとマチュー・アマルリュックは結婚をして子供もいて、後に離婚)。なので、ジャンヌ・バリバールに会いに、「山逢いのホテルで」(マキシム・タッパズ監督。2023年。スイス、フランス、ベルギー映画)を観に行ってきた。
スイスアルプスを望む小さな町に住む、障がいのある息子を育てるシングルマザー。自宅で仕立て屋さんをしている。毎週火曜日に山の上のホテルに行き、泊り客の男性の中から目星をつけて、その場限りのアヴァンチュールを楽しんでいる。もう何年も息子には献身的に、仕事も信頼されてこなしているのがよくわかる。けれど、心の中には解決できない思いが溜まってきているのだろう、それを解放する為にホテルに向かって行くのだろうな。。
ある火曜日、一夜のはずが、ドイツ人の男性(水力発電専門家)と強く惹かれあって。。この男性がいい人で。。思いがけずピンチの時など、ふいにこんないい人が(男性女性に限らず)人生に現れてくれるのを、私も個人的に経験しているので、、尚更、この展開もあるな、と主人公のクローディヌの気持ちに入っていけて、気持ちが揺さぶれまくった。障がいのある息子のことを思うと、、近所の時々息子の面倒を見てくれる、高齢のマダムの言葉にも含みと重みとリアリティもあって、そしてこの男性の存在。もう心はぐちゃぐちゃでしょう。ベットの上でも最後の場面でも、押し殺すような声がまた印象的で。スイスの山々の大自然とダムの人工的で静寂な景観、先を見せ過ぎない終わり方も見事。原題は、「Laissez-Moi」「私を放っておいて」。私自身も年齢を重ねて、それなりに経験を積んで大人になって、、より実感できて心乱された映画だった。
「御社のチャラ男」は、息子が幼稚園の時のお友達のお父さん、上村聡さん主宰の「かみむら文庫」(野田秀樹の舞台その他でご活躍)で上演された劇。野田秀樹の演劇も幾つか観させていただきの今回はお付き合いのつもりだったのが、初めて演劇の醍醐味面白さを味わえて、目から鱗の体験をさせていただけた。原作は絲山秋子の小説。お話が魅力的で、脚本がよくて(上村さん)、演出がよくて、役者がよくて、すぐ目の前で観られると、演劇ってこうも心に情熱を灯してくれるものなのか!と驚き。
中野の小さな倉庫のような劇場で、100人くらいの観客、私は前から2番目。役者さんの表情がよくよく見えて(そんな席が初めてで)、12名の俳優さんの皆さん本当にお上手で(舞台で俳優さんが上手だな、いいなと思ったことは、いつも席が悪かったのも十分あると思うけれど、そうもない。その反対はある)、プロフェッショナルさを身近に生で感じることができた。感激。推しとかできたら、生の演奏とか舞台とか観たくなるのがわかるな〜。
小学校1、2年生の時の友達に誘われて、<ゲンズブールナイト2024>へ。もう30年以上続いているイベントのようで、観客は程々に年齢層も高かったかな、友人好みの場末感あるイベントだった。ゲンズブールの歌は思ったよりは聴けなかったけれど(日本語訳の歌)、ジャンルを問わずの、個性豊かなアーティストの演奏が盛りだくさんの夕べだった。体張って生きてる、その人丸ごとを解放しているのを間近で見られて面白かったけれど、また聴きたい観たいパフォーマーは2人。
この友人には以前も誘われて、この夕べには敵わないくらい場末のキワキワライブに連れて行ってもらったことがある。ファイヤーヨーコさんは凄かった!女性として、生き方に一目置かせていただきたいと思えた方。パフォーマンスはもちろん!トークもいいから、ファイヤーヨーコさんにはまたお会いしたい、再度パフォーマンスを拝見したいと思ったことを思い出した。
自分も年のを重ねてきて、もう表面的な諸々のことをしたくない、しなくなってきているので、心に残る映画とかアートや音楽、生のパフォーマンスに後押しをされて、本気で本心で生きていきたいと思った、師走半ばの2024年、年の瀬。
先週息子と観た「ロボット・ドリームズ」。あんまりよかったので今日も息子と観に行こうと、インターネットで席を予約。が、5、6席空いているようだったが、インターネットでは1席、息子の分しか席を予約できず、急いで映画館に駆けつけた。だがもう満席で、観る気満々の息子(10歳)だけひとり劇場内へ送り出した。息子には後で、今回はどこがよかったか聞いてみよう。日曜日の昼下がりに観る映画としては、最高!涙ポロポロこぼれてしまうかも。