10円くらい持って行ったら?
姉が20代の頃
近所の皮膚科に傷口のガーゼ交換だけに行く日。「お金は要らないらしい」と、
手ぶらで出ようとしたので
10円玉1枚くらい持って行っといたら?と
8歳下のワタシは忠告した。
「そんなんええわぁー」ハハハ と出て行った。
1時間くらい後だったのか
たまたま玄関にいたとき
姉は体をギクシャク上下させながら
半べそ半笑いで戻って来た。
底がコルクの高めのサンダル。
細いストラップが
ブチっと切れた。
夏の日、人も少なく 皮膚科に戻るにも中途半端な選択とみて、
15分程の皮膚科から30分以上?かけて
地道に歩いて帰ってきた。
公衆電話がまだどこにでもある時代。
「10円玉持って行っといたらよかった〜」
姉の傷口には新しいガーゼ。
足の裏は夏の歩道で赤く熱く
薄く皮がめくれていた。
サビオだかバンドエイドだか 貼っていた。
と、いう夏の思い出。