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5分でそこそこ把握できる2023年版中小企業白書(後半その1/人材編)

 2023年版中小企業白書は第1部、第2部の2部構成。前回、第1部をナナメ読みして「前半」として公開設定した後に、「うん?」とちょっとした違和感を覚えたわけですが、「まあ、いいや」と後半をしばらく読み進めて、「ハッ」としたわけです。計760ページのうち、第1部って180ページ、第2部が残り約600ページなのね...「後半」とひとくくりにするには無理があるな...ということで、気を取り直して後半は何回かに分けることにします。今回はその1、人材編です。第2部・第1章(約100ページ)を、中小企業診断士がナナメ読みしてみての感想です。

第2部・第1章に書かれているのは”人材”の大切さ

第2部のタイトルは「変革の好機を捉えて成長を遂げる中小企業」。その第1章は「成長に向けた価値創出の実現」。ちょっと章のタイトルとリンクしてない気がして、少し自信がないのですが、ここで書かれているのは”人材”の大切さ(だよね?そうだよね...)。

人材活用ガイドライン、令和5年度公開予定(233ページ)

第1章で言いたいことのポイントは、233ページに凝縮されていると言っても過言ではない、ような気がします。バイトでもパートでも社員でも幹部でも経営者でも、仕事って、結局、”人”なんだよね、という話です。
 経営者が取り組むべき人材活用策のポイントや先進的な取り組み事例をまとめた「人材活用ガイドライン」、今年度内に公表される予定だそうですが、概要が公開されていて、こういうものになる予定だそうです(↓)。

出典 2023年版中小企業白書(233ページ)

きっとこういうことを言いたいんでしょう。
①会社にビジョンや目標があれば、それに向けた経営戦略が立てられる。
 例.うちはりんごジュースで世界一になろう!私の好きな、青りんごと紅玉100%で青春の甘酸っぱさを再現した女子高生向けりんごジュースにするべ。
②経営戦略があれば、戦略を実行する事業計画や「人材」の話ができる。
 例.りんごジュースの工場を建てねばな。あ、工場長も必要だばな。
③この順番がぐちゃっとならないように、支援機関はちゃんと仕事をしなさい。
...ちょっと単純化し過ぎて怒られそうなので、その後の図も入れておきます(↓)。

出典 2023年版中小企業白書(234ページ)

 どうしても、現場で「人手が足りないんだけど!」⇒「分かった、どうにかしなきゃ!」となりがちですが、STEP1で”真の課題”がなんなのか、冷静に会社を見つめ直すことから始めないと、根本解決にならない、ということが書かれています。人材活用ガイドライン、早く読んでみたいです。

リスキリングは社長から(225ページ)

 中小企業白書の対比、例えば、やってる会社とやってない会社の売上高の違いとか、そんなにそんなに、差がない場合が多いんですよね。やってる会社の方が、「やっぱりちょっといいよ」くらいの差です。ところが、リスキリングは全然違いましたね。

出典 2023年版中小企業白書(225ページ)

社長がリスキリングに取り組んでると、やっぱり社員にもリスキリングの機会を提供しますわな。それにしてもこんなに違うか(↑)。そうなれば、当然社員も「社長が頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ」となりますよね(224ページ)。
 228ページには、社長がリスキリングに取り組んで社員の学習を後押しし、「学び続ける組織風土を醸成」した企業の事例が載っています。資格の例として、ITパスポートが出てきます。脱線しますが、ITパスポートの勉強をすると、ビジネスパーソンの基礎知識が備わって、新聞を読むのが少し楽しくなります。だから、私も、若手社員にはオススメしてます、ITパスポート。今度、このことも書こうかな。

リスキリングしたら、右腕人材に(235ページ~)

 白書では、経営者が経営上の悩みを相談できる等、厚い信頼を寄せるのを「右腕人材」、経営者に近い立場にいて、高い専門性や実行力があるのを「変革人材」と定義しています。
 明確に書かれてませんけど、リスキリングして、あなたもそういう人材になろう!ということが言いたいんでしょう、きっと。

 社長が右腕人材に期待するNo.1は「営業力」(↓)。右腕は、社外より社内人材の方が圧倒的に多いです(7割強、236ページ)。社内事情にも精通していて、「社員との距離を埋める役割」を期待していると白書は分析しています。社長は孤独、ですからね。

出典 2023年版中小企業白書(238ページ)

右腕+外部登用の変革人材で、真の変革へ

 変革人材も内部登用が多いです、右腕人材と同じくらい(7割強、242ページ)。ただ、私としては下図のNo.2に着目したいです。社内登用の右腕人材に営業力を期待するなら、変革人材には「経営企画」を期待したい。そしてそれは、内部人材のリスキリングではなかなか培えなくて、その道の豊富な業務経験がある「外部人材」が適任じゃないかなって思います。

出典 2023年版中小企業白書(244ページ)

 内部人材だけで変革するのは難しいし、かといって外部人材が内部を変革するのも難しい。右腕人材と外部登用の変革人材がそろって、真の変革ができるのかな、と白書を読んでて思いました。やっぱり社長には両腕が必要だ!、って。

地域の人事部、でリスキリング人材の流出を防げ!

 白書には明確に書かれていないのですが、リスキリングした人材に「今までありがとうございました、ぼく卒業します、次のステージに向かいます」って会社を辞められたら、元も子もないですよね。本人に成長意欲があるから、引き留めるのも難しいし。リスキリングには常にそういうリスクが付きまとうと思います。
 255ページには、そのヒントになりそうな取り組みがありました。その名も「地域の人事部」。地域企業が合同で人材獲得・育成に取り組むこと、を指しているようで、例えば、採用規模の小さい中小企業が集まって、他社と合同で社員研修会を企画して、「地域の同期」の輪を作ってもらうとか、です。
 「転職をやめて頑張りたくなった」という声もあるそうで、「悩んでるのは自分だけじゃないんだ」と思えることって大事だなと。ここでも、前回同様、キーワード「心理的安全性」が頭に浮かびました。
  この後、残りの部分をザーッとナナメ読みして、第2部第1章を閉じたのでした。(残りの後半に、続く)


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NORICON@中小企業診断士
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