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部下にデータ集計させる前に上司が考えておくこと。何のために、何が知りたくて、それが分かって何をしたいのか

ちゃんと販売データを見てみろ。
顧客データはどう使っているんだ?
データドリブン(データに基づいて意思決定)しなきゃダメだろう。

こういう社長の大号令があると、部長から課長に、課長から担当に、データドリブンするための資料作り(=データ集計)が指示されるわけだ。
集計できたら、「よし、一緒にデータ分析しよう!」と部長や課長、何なら社長も、手ぐすね引いて待っているわけ。

ただ、その担当は...
あるある、いっぱいあるよデータ。
どの数字を使って、どんなグラフに集計すればデータ分析できるんだろう?

こういう思考回路になるわけだけれど...
ところで私たちって、何のために、何が知りたくて、それが分かって何をしたいの
「何?」が納得できていなければ、社長の大号令も、部長や課長の指示も、担当が作ったグラフも、全てがトンチンカンで不幸な結果になる。

データ集計させる前に、ちょっと立ち止まって、考えておくべきことがあるのだ。こんなとき、大きな会社が、何のために、何を知って、何をしたのか?今日はそういうお話。


稼げる販促へ変えるカルビーPOS発 陳列案、頻度別クーポン(2024/10/07日経MJ)

何のために?(新しい販促のために)

卸値を下げるか、コストをかけて派手な販促物(POP)をつくるか―。ほぼ二択式だった販促の世界を、データの力で変えようと考える企業が相次ぎ現れている。代表的な1社がカルビーだ。2022年にデータドリブンの販促策を練り上げる専門組織としてリテールサイエンス部を設立。

日経MJ記事本文

菓子業界では長年、卸価格を下げて特売を促す価格主導型の販促が続いてきたが、「限界を迎えている」

日経MJ記事本文より

今回の主役は、押しも押されもせぬ、業界1位or2位を争う「カルビー」。
データドリブンの専門組織、リテールサイエンス部が2022年に設立された目的、「何のために?」は記事に堂々と書いてある。

何のために?
⇒限界を迎えている価格主導型の販促をやめるために。

何を知って?(個人情報×購入情報を知って)

カルビーはID-POS(販売時点情報管理)データから同社商品を手に取りそうな客を抽出。小売店に来店する頻度を高めてくれそうなクラスターを導き出し、ターゲットを絞った販促策を共同展開し始めた。

日経MJ記事本文

POSデータというのは、どんな感じの人が、何を、どの店で、どれくらい買ったかという購入情報(レジ打ちの結晶)だったわけですが、最近はスマホ決済だから、「どんな感じの人が」というふわっとした情報(レジの人の感覚)じゃなくて、ある程度マスキングするんでしょうけど、ほぼほぼ個人情報(ID)×購入情報(POSデータ)まで取れちゃうわけですね。

何を知って?
⇒ほぼほぼ個人情報×購入情報を知って。

何をしたか?(分析してそれぞれに合った販促をした)

ID-POSデータから、カルビーのポテトチップスを「購入している人」「3~6カ月の期間購入していない人」「6カ月以上購入していない人」の3つに分類。購入している人以外に対してだけクーポンを印字できるようにした。

日経MJ記事本文

手応えを感じたカルビーは、次の段階へ進めようとしている。まずID-POSデータの「来店頻度」と「1回の買い物当たりのトータル支出金額」を掛け合わせ、店舗へのロイヤルティー度を分析。買い物客を「ヘビー」「ミドル」「ライト」に分類し、商品の購入頻度別クラスターと掛け合わせるアイデアだ。

日経MJ記事本文

これってもう、マーケティングの教科書に手あかがつくくらい書いてあるRFM分析というやつです。
本当のお得意様は誰なのか?しばらく買ってくれてないから、プッシュすべき人は誰なのか?を調べて、それぞれの人たちに適する販促をしていこうね、そゆことです。

何をしたか?
⇒お得意様とそうでない人に分けて、それぞれに合った販促(単純に価格を下げるだけじゃない販促)をした。

データ集計は「何のために、何を知りたくて、それが分かって何をしたいのか?」の一部。

...ということで、データ集計は「何のために、何を知りたくて、それが分かって何をしたいのか?」の中間地点(何を知りたくて)にある。

「何のために?」がないと、「何を知りたいか?」分かるわけがないし、「何をしたいのか?」がイメージできないと、必要な数字が何なのか分かりようもない。

担当が「データはいっぱいあるんだけど、どの数字を使って、どんなグラフにすればいいんだろう?」と悩んだ時点で、アウトなわけだ。

世の中にデータ集計で困っている担当がいっぱいいると(勝手に)仮定して、これはもう、B’zの「イチブトゼンブ」を聴いて猛省しよう、と世の上司たちに言いたくなった。そんなことを想って、スマホを閉じました。


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NORICON@中小企業診断士
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