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副業診断士の生きる道(中)~診断士の強みを理解する
(今回の内容は約2,800字、所要時間は5~6分です)
中小企業診断士登録をして、協会に所属したり、開業したりすると、怪しい勧誘もきたりする。この前はマンション買いませんか?まできた。
今の仕事に、不満があるわけでもない。でも、仲間の診断士がバリバリ活躍し始めて、オレ、どうしようかな。
診断士の名刺を出せば「何が得意ですか?強みは何ですか?」と聞かれるけど、かたや成功している人の中には、何でもできるスーパーマンもいる。
そんな自分は副業診断士とか企業内診断士。そういう人も、少なくないはずだ。ということで、前回はそもそも副業・兼業の現在地を整理してみたのだが...
今回は、2024年版 中小企業白書を読んで想った、診断士の強みを整理したい。
1.強みを「客観的に」把握する
(1)話のきっかけ(イノベーションと外部連携)
イノベーションを起こすために、優先度の高い課題(課題=やること)。2024年版中小企業白書「イノベーションと外部連携」には、このように書いてある。
(イノベーション活動に向けた取組における課題の)優先度が最も高いものとして、「自社の強みをいかせるニーズの探索」(28.9%)、「ニーズを把握するためのマーケティング」(21.8%)といった課題が挙げられている。
先行研究では、自社の強みを客観的に把握し、言語化できている中小企業が少ないこと、イノベーションのためのニーズ探索において、既存事業の関係先からだけでは新分野の情報が限定的であることなどが指摘されている。
外部の機関・人材を活用した企業においては、競合他社との比較などによって自社の強みを認識したり、社外から専門的な知見を得たりすることが、イノベーション活動において効果的であった
どれも同じようなことを言っているような気がする(業界用語で言えばMECEじゃない)...
ちょっと順番を整理してみようと思う。まず、ここで言っているのは...
優先度の高い課題は、強みをいかせるニーズの探索、ニーズを把握するためのマーケティングだ。
ただ、そもそも、その強みを「客観的」に把握できていないし、イノベーションには社外の力が大切だ。
ということで。もう少し課題とやらを整理すると...
自社の強みを客観的に把握する。
社外の力もお借りして、ニーズを把握する。
これらを通じて、自社のマーケティング力を高める。(これを繰り返して、そして伝説へ...)
こういうことなんじゃないか。
...とあっさり書いてはみたものの、そもそも自社の強みを「客観的に」把握するのが、容易ではない。
強みを客観的に把握するために、サイヤ人やフリーザは、スカウターで戦闘力を測ったわけだ。「気」なんてものでは、客観的に測れない。
診断士だって「あなたの強みは何ですか?」(...と、聞かれること自体、既にナメられてるわけだが笑)と聞かれれば、一瞬考えこむはずである(スラスラ出てくる方が怪しい笑)
...ということで、「強みを客観的に把握する」って簡単に言うけど、そもそも、そこでつまづいている企業(もしかすると、あなたや私)の方が、圧倒的大多数なんじゃないかと思ったりするわけだ。
(2)「客観的に」把握するためには
それじゃあ、強みを「客観的に」把握するには?
...自社が強いかどうかは、他社との比較でしか得られない。
そして、他社と客観的に比較できるのは、当事者ではない。
・イノベーション活動に外部の機関・人材を活用したことで、「自社のコア技術やその強み」、「製品化・差別化に向けたフィードバック」を得られたと回答する企業の割合が高いことが分かる。
「御社(あなた)の強みはなんですか?」
と聞かれて、真実に近い答えを持っているのは、御社のことをよく知っている外部の人(私たちの場合は、信頼できる仲間)だったりするわけだ。
2.支援機関別の戦闘力を客観的に把握する
ただ、幸い「中小企業白書」を読むと、支援機関の戦闘力がつまびらかになっている。さっそく、強みを客観的に把握してみようじゃないか。
(1)戦闘力レーダーチャートより
「第2部 第4章 中小企業・小規模事業者を支える機関」に、支援機関の戦闘力の比較(レーダーチャート)がある。
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(2)総合力は、よろずのことに対応できる「よろず拠点」
総合力では、よろずのことに対応できる「よろず拠点」がナンバーワン。
そもそもよろず拠点は●●士とか▲▲コンサルタントの集まりだから、他の支援機関の強みを網羅してて当然か。
一方で、脱炭素とかDXは、よろず拠点でも専門的なサポートがまだまだできてないんだな、とも実感。
(3)中小企業診断士の得意分野は4つ
グラフを見ると、中小企業診断士の得意技は、①創業、②事業計画策定、③販路開拓・マーケティング、④経営改善、の4つ。
ただ、②と④はその他(民間コンサル、かな)、①は商工会・商工会議所も得意技。比較優位があるのは④の販路開拓・マーケティングと読み取れる。
3.イチブトゼンブを理解する、診断士の強み
(1)イチブトゼンブを理解する
レーダーチャートをよく見ると、意外とこのバランスは悪くないじゃないか、とも。
創業だけ、計画策定だけではなくて、①創業⇒②事業計画策定⇒③販路開拓・マーケティング⇒④経営改善、こういう流れ、全体感をひととおり、私たちは理解している。ゼンブ(全体感)を理解して、イチブ(自分の強み)を支援するのが、診断士の強みなんだろうと想う。
(2)足りない部分は補い合おう
・事業者から寄せられる相談内容が多様化する中、支援機関が単独で対応できる経営課題にばらつきがある。
・今後も支援体制を強化していく上では、支援機関同士が連携していくことも重要になってくる。
人手不足とか脱炭素とか海外展開とか。苦手な部分はあるんだけど、分からないところは分からない、助けてほしいところは助けてほしい、そう言えるネットワークを作っておこう。大事なのはちっぽけなプライドではなく(グサッ)、企業が成長することでしょ、と。
これは、協力して一つの仕事を成し遂げる、サラリーマンの仕事の醍醐味みたいなところに、通じるような気がする。それってもしかして、私たち副業診断士の強みかな、とも。
4.おさらい
今回は自分が考える診断士の強みを整理してみた。
ゼンブ(全体感)を理解して、イチブ(自分の強み)を支援する
次回はいよいよ(ようやく笑)、副業診断士が愛し抜くべきポイントをひとつ、お伝えしたい。
すべて何かのイチブってことに、僕らは気づかない
愛しい理由を見つけたのなら、もう失わないで
愛し抜けるポイントがひとつありゃいいのに
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