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教材に対する驚きの視点を子どもに与えることで授業は盛り上がる

2年生国語教材、「わにのおじいさんのたからもの」

わにのおじいさんは宝物を狙うやつに命を狙われています。逃げて逃げて逃げまくって、へとへとになって寝ていたところ、優しい鬼の子に出会います。

鬼の子はおじいさんが死んでいると思って、葉っぱのお墓を作ってあげようとします。1日かけてたくさんの葉っぱを用意してあげます。

そんな優しさに心を打たれたわにのおじいさんは、鬼の子に宝物の在り処を教えるという話です。

この話、表面的に読めば、「優しい鬼の子が宝物の地図を教えてもらえた。だが鬼の子は、本当の宝物はきれいな夕焼けだと勘違いした話」だと理解できます。

でも、ここでよくよく考えてほしい。

「普通、鬼って宝物を奪う存在じゃないか?」ということです。

『ももたろう』の話で出てきたように、鬼は村人から宝物を奪ってしまいます。そして貧しい生活をして苦しんでいる村人たちを助けるため、桃太郎は鬼ヶ島に鬼退治に出かける話です。

この話にあるように、「普通、鬼って悪いことをする」という常識がないと、この「わにのおじいさんのたからもの」の話は面白くないのです。

鬼に宝物の在り処を教えるなんて、おかしなことなんですよ。

でも、子どもたちはいまいちそのことに気づきません。

なにせ2年生ですからね。

ここで教師が、「普通さぁ…」と、常識的に考えて鬼は悪いやつで、その鬼に宝物の在り処を教えるなんておかしい、と子どもに話すこと。

そうすることで、子どものなかに「視点」が生まれます。

どうして普通悪いはずの鬼に、わにのおじいさんは宝物の在り処を教えたんだろう?

こんな問いが出てくれば、その授業はとっても盛り上がります。

そうするといろいろな疑問が出てくるんですよね。

・鬼の子が帽子をかぶっているのはどうして?

・夕日を見たときに「思わず」帽子をとったのはどうして? 思わずってどういうこと?

・わにの命を狙う「悪いやつ」は誰? 鬼? 人間?

・鬼の子は周りの人間からどんな扱いを受けたの?

・本当の宝物って何? 金銀財宝が宝物なのか?

こんなふかーい読み取りや考察が生まれてくるかもしれません。

2年生には難しいかもしれないけど、こういうことは教師が語って教えてもいいと思うんです。物語を読む楽しさを、少しでも子どもに伝えてほしい。

よく物語の指導において行われることは、表にして「登場人物の行動」と「その時の気持ち」を整理させる方法ですが、あれは正直しんどい。

なにせ、面白くない! わくわくしないんです。

確かに時系列的にわかりやすい?かもしれませんが…いやぁ面白くない。

それより、教師が「普通はこうなのに、この物語では違う」と話して、その理由は意図を子どもに投げかけたほうが面白くなると思うんです。

あなたはどう思いますか?


3年生国語教材「ちいちゃんのかげおくり」

この教材は、私が涙なしには読めない話です。もう範読するのが辛くて、いつも泣いてしまう。

だからこの教材を範読するときには、心を鬼にして読むことにしています。

この話も、「普通さぁ…」を使います。

ちいちゃんは小さな女の子で、おじぎり(おにぎり)を1人で全部食べてしまうほどの小さな子。年の頃は3,4才でしょうか?

そんな女の子が、おかあちゃんとはぐれ、おにいちゃんともはぐれ、一人ぼっちになってしまう。

「普通」は、ただただ泣いて何もできないでしょう。

泣きわめいて、走り回って、倒れ込んで・・・・

でも、ちいちゃんは違います。

たった1人で、家族が帰ってくるのを待つんです。

「ちいちゃんは、深く頷きました。」という文章があります。このところから、ちいちゃんは並々ならぬ覚悟と信念で、「家族は必ずここに戻ってくる」といって、焼け落ちた家で待つんです。

しかも、初日から2日目になると、

壊れかかった「暗い」防空壕⇛壊れかかった防空壕

というように、「暗い」という言葉が消えてしまいます。

これはどうしてか?

「普通さぁ…」暗いのって、1日目も2日目も同じでしょ。

なのに、どうして2日目は「暗い」がなくなっているんでしょうか?

こんなふうに問うと、はじめて子どもたちのなかに「視点」が生まれます。

「たしかにない。どうしてだろう。」

そこで気づく子が出てくる(かも)。

「先生! もしかしてちいちゃんは体調が悪くなっているから、目が見えなくなってきているのでは?」

そうなんです。ここでちいちゃんは、どんどん体調が悪くなっています。2日目は光がわからなくなるくらいなのです。

だから、「暗い」という文字が消えてしまったのです。

スラッーっと読むにはもったいなさすぎる部分。

「普通はこうだろう? でもこの物語では…」と話すことで、子どもは物語を本当の意味で読みはじめるのです。


物語文指導のポイントは、「意外性」

私は、教師の役割とは、「子どもを勉強好きにさせること」だと思っています。

ならば、物語文の指導においては、その物語がこんなにおもしろいんだよ!と子どもに示し、わかるように伝え、考えや子どもの発見を促す授業こそ、必要だと思うですよね。

「物語文の指導が難しくて…どうやればいいんですか?」若手の先生は、そんなふうに悩まれることがあります。

私の答えは…

先生自身が物語を楽しめ

です。

だから何度も読んで、「普通はこうなのに」というところを探しましょう。

そして、子どもに解釈させ、発見として扱い、「深い読みだ!」とたたえましょう。きっとその子は、国語の物語を好きになってくれるはずです。


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