さびしさはきえなかったけれど、よろこびもまたきえさりはしなかった
晩秋のおもむき。
というか、寒い。寒いんだ。
冬のコートを着ている。
そしてマフラーまで巻いていて、おや、これはもう真冬の装いなのでは?と気づいて焦っている。
大丈夫。まだヒートテックは着てない。
40代の就職活動。
いまの職場を上司のなんハラによって辞めることとなったわたしは、そろりそろりと、就活を始めているのである。
まだ在職中なので、そして辞めてからもしばらくは失業保険給付がいただけるのもあり、そこまで焦っているわけではない。だけど、いい求人は絶対に逃したくないのが人情。
なので、「社会福祉士 求人」で検索をかけ、「これは!」と思ったところには応募をしている。いまのところ、行政関係の二箇所だけ。
現職場が就業規則も見たことないくらいゆるすぎてそのために上司からも最終的にひどい目にあったので、今度はちゃんとしたところで働きたい。かつ、資格を活かして社会福祉士職として働きたい。
金曜は、そのうちのひとつから面接の機会をいただけた。
履歴書と職務経歴書(新卒の就活と違うのは、この職務経歴書がめちゃめちゃ大事というところである)を送ってからの、書類審査に通り、面接、までのスピード感がすごかった。1週間くらいじゃないか。速くて戸惑った。
新卒の就活面接で尋ねられることは、なにしろ氷河期世代で何十社と出版社を受けたもんでだいたい分かる。
だがこの年齢で、しかも資格と経験があっての転職活動での面接というのはいったい何を尋ねられるのか?わからぬ。
想定問答をセルフでやってみたものの、うーん、うーん?と首を傾げながら本番に挑むこととなった。
行政の偉げなおじさま三人に囲まれ、新卒の時の面接とは違い、わりと和やかなムードで、どちらかといえば「質問される」より「○○ですが大丈夫ですか?」といった業務内容や条件関係のこちらへの説明や確認の方が8割方を占める内容である。尋ねられたのは、「こちらを志望していただいた理由を教えてください」と、「今回転職された理由はなんですか?」だけ。
確かにあとはもう、職務経歴書を見れば何をしてきた人なのかは分かるもんな。
「あなたの長所と短所は?」「趣味は?」
なんていまさら聞かれないのである。そりゃそうか。
結果は今週中には連絡が来る。
さて、どうなるか。
ちなみにその面接を受けている間にメールが届いており、もう一箇所の、とある省庁の社会福祉士職の求人からも一次選考通過のお知らせが届いていた。12月の頭に面接だそうだ。
なんかもうどうなるか分からないけど、がんぱろう。がんばろうと思う。
恨むよりも、前を向こう。
恨めしいけど、そんなこともどうでもよくなるくらいの、新しい気持ちになれる職場で働けたらいい。
そんな気持ちになってきた。
・・・
最近は娘とこたつに入ってかぎ針編みをすることに癒しを感じている。
わたしはまだまだ下手くそだけど、娘は本当に器用で、手芸のセミプロである祖母や母の血を受け継いでいるなと感じる。
こんな風に、作ってはブローチにしている。
職場につけて行くと、必ず誰かしらに「そのブローチどうしたの?素敵だね」とほめられる。
「わたしたちブローチ屋さんになれるんじゃない?」
「なれないよ」(娘)
なんて言いながら。
・・・
谷川俊太郎が亡くなった。
わたしにとってはとても特別な人で、唯一無二の詩人だった。
「いつか亡くなるのかもしれない」と思うと世界が終わるような気がするくらい、本当に特別な方だった。その谷川さんが、亡くなった。
朝のニュースでそれを知って、ああ、あの頃のわたしにとっての世界がひとつ終わったんだ、と思った。
わたしがうまく学校に行けず、不登校がちだった中学高校時代に、文字で心を救ってくれたのが谷川俊太郎の詩だった。
詩集をいつも持ち歩き、読書感想文を書かねばならない時には谷川俊太郎の詩を選んで書いた。
大学生になり、1度だけでも本物(?)に会いたいと思い、朗読のイベントに馳せ参じたのも今でも記憶に鮮明に残っている。
いる!谷川俊太郎がいる!と胸がドキドキした。それはそれは素敵な佇まいだった。
本棚を見てみると、十代の頃からの思い出の本がこれだけあった。
どの本にも大好きな詩やことばがある。
そのなかでも、本当に胸に染みてわたしの一部になっているような詩をふたつ、紹介したいと思います。