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読むまちづくり

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2020年4月の記事一覧

「感情労働者」としての地域おこし協力隊について。

 先日、地域おこし協力隊向けの研修でお話する機会がありまして。  まず、地域おこし協力隊とはどういう位置づけの存在なのか?これは、鳩山政権の「地域力創造プラン」に基づき、2009年度から開始した総務省の制度です。地方自治体が募集を行い、都市部の住民を受け入れて、地域おこし協力隊員として委嘱するわけです。隊員には、「地域協力活動」に従事することを通じて、地域力の維持・強化を図っていくことが求められます。   地域おこし協力隊を採用する場合、総務省が、地方自治体に対して、特別

「御社の命運を、エスパーのような能力を持つ部下を、安定的に調達し続けられるはずだ、という予測に、賭けますか?」という話。

 こんな記事を読みまして。組織改善コンサルをやっているという著者が、よくある「変わらない企業」の特徴を次のように説明しているんですね。 すでに答えがわかっていることでも、部下たち自身で主体的に考えてほしいと言ってきかない。 「そんな悠長なことを言っていられないでしょう」と私どもが主張しても、部課長たちは、「個人の『やりがい』を尊重したい」「『やらされ感』を覚えるような言い方はマズイ」などと言って譲らない。 料理で例えるなら、美味しい食材選びのコツを指南しているのに、「自分た

「社会的なネットワーク」とは、「もともと一体だった時の記憶の残像」である説と、オンライン会議は「とろけるような一体感」を生み出せるのか、という話。

 こないだ「あ、そうか」と気づいたことがあって。それは人間同士の関係、つながりのことなんですね。ネットワークともいいますけど。これって、一体なんだろうと思っていて。  で、ふと気づいたのが、そうか、ネットワークっていうのは、「もともと一つだったものが別れた残像」として見えるんだな、ということで。例えば、円形のピザから1ピースを持ち上げると、チーズの糸が残るじゃないですか。それなんじゃないかと。  そういうイメージで捉えると、「ネットワーキング」という言葉がなんだか奇妙に聞

「オンラインミーティングの場」という公共財を、誰がどう維持するのか〜意外と身近なまちづくりの話

 オンライン会議が俄なブームのようです。「オンライン会議」という場合、いわゆるZOOMなどのアプリを用いた「顔が見えて、複数人が、リアルタイムでお話できる」状態を指すみたいです。  で、流行ってるとはいうものの、そこで「じゃあ既存の会議をオンラインに移行しましょう」と言って、実行できる人がそうするのは、まあ、そりゃそうだよな、って話で。何も目新しい話ではないというか、普通なんですね。どっちかっていうと、いまおそらく現場で切実に困ってるのは、「オフラインでしか参加できない人と

「出勤減」という、「非集の時代」のまちづくり活動について。

 先日国が緊急事態宣言を出し、単なる外出抑制だけでなく、各企業に対し労働者の出勤を減らすよう要請するようになりました。 安倍晋三首相は十一日、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、緊急事態宣言の対象となった東京など七都府県の事業者に対し、出勤者を最低七割減らす要請をするよう関係閣僚に指示した。繁華街の接客を伴う飲食店の利用自粛要請を、七都府県に限らず全国に拡大するとも表明した。緊急事態宣言の発令後、初めて開かれた政府の感染症対策本部会合で語った。  このお達し、公務員のよ

人間が大きくなりたい、って話。

 僕は人間が小さいんで、人間が大きい人っていうのにあこがれがあるんですね。大きな人間てのを可能にするメカニズム、考え方、行動を知りたい。それがまちづくりを研究する動機になっている気がするんすね。  人間が小さいっていうのは、「欲が小さい」っていうことで。ここでいう「欲が小さい」っていうのは、清貧みたいな意味ではなく、仏教でいう小欲なんすね。例えば「自分さえよければいいんだ」とか「儲からないならやりたくない」みたいな欲望って、小さいんですよ。  だから、まちづくりがうまくい

大学の講義のオンライン化に関する覚書

 僕が講師を務める大学でも、5月まで対面講義の見送りが決定されまして。この大学は、講義方法は各講師に任せるという、僕は好きな運営方針を示してくれています。しかし、じゃあどうするか。対面はダメだけど講義はしましょう、となると、当面オンライン化が最有力候補となるわけです。もちろん、古風に「文通でやりとりしましょう」という手もなくはないですけど。  こういうお悩みを抱える同業者は結構多くて、いま同業者ネットワークの間でも「どうしましょうね」という情報交換が盛んです。もしかすると他