マッチングアプリとわたし ep2チルっち
普通のサラリーマン、ノースフェイスのアウターとか着て、スーツにはバブアー、スニーカー沢山持ってて、趣味はカレー屋さん開拓、学生時代からサッカー部で休日はたまにフットサルしてます、みたいなちょっと今どきおしゃれサラリーマンとマッチング。(数年前だからもう今どきじゃないか)
顔はかっこよくはないけど、優しそうでやりとりもまともだからご飯に行った。
飲みに行って健全解散、2度目はお昼ご飯。
いい流れ。
3回目、誕生日が近かったわたしを回らないけどカジュアルなお寿司に連れて行ってくれて、プレゼントは残るものだと重たいからと、ちょっと良いチョコレートをくれた。
めっちゃいいじゃんって思うじゃん。
でもなんか嫌で、なんというか、会話の端々でコンプレックスの強さと絶妙なプライドの高さが感じられて、そこにみみっちさを感じてあんまり好きになれなかった。
結局告白されて断ったけど、友達としてはしばらく仲良くしていた。
その子のそのあとの恋愛の相談に乗ったり、友達も交えて飲みに行ったりしていて、その間もやっぱり自虐を続ける彼に、わたしは自信持って頑張ってと、決して見た目のことを否定することなく、良いところはちゃんと褒めて、応援し続けた。
けど彼は私に振られた理由が見た目のせいだといつまでもわたしのことを面食いよばわりし続けた。
あるときお互いの知り合いを呼んで合コンを開くことになって、幹事のわたしたちは先に集まってお茶することに。
合コンはあんまりしないし、そのときわたし仕事辞めて過食酷かったから自信なくいて、緊張する〜大丈夫かな?みたい話をしていたときに、何の流れかお互いの第一印象の話になって、ふと彼がわたしに放った言葉は、
最初会ったときは痩せてたっしょ?
だった。
わたしは今までの全ての嫌な感じがこの一言に集約されていると思った。
わたしはあなたの顔が嫌いだったんじゃなくて、あなたのそういう内面が滲み出てるところが嫌だったんだよ!!!!!心の中で叫んだ。
と同時にわたしは見る目があったんだと確信できた。
やっぱり、なんか嫌だなっていうのって、どんな判断材料よりもあてになる。とくに言葉の端々で感じられることについては。
ていうかそういう人ほど人の外見についてものすごく言及するし、綺麗な人好きだよね。
そんな彼につけていたあだ名はチルっち。
フェスに行くのが趣味だそうで、初対面の会話で、フェスまじ最高でさ〜チルって感じ!って言ったのを職場の先輩に話したら、チルっちって呼び始めたのでチルっちになった。
嫌なこというやつはそんなあだ名で十分だ!!!
プライドが高いチルっち、仲間内ではわたしに振られたんじゃなくて、お互い話し合って友達でいようってなったことにしているらしい。
本当にどこまでもみみちい男だ。
欠点があるところが嫌いなんじゃなくて、コンプレックスを持っていることを過度に気にしてわざわざ口に出して卑屈な発言をする、その感じが恥ずかしくて嫌なんだよ。
あなたの容姿は別に何も悪くない。
そしてわたしはあなたのことを嫌いでもなく、コンプレックスがあるあなたを純粋に応援していた。わたしにもコンプレックスがあるから。
でも、難しいよね、わたしも逆の立場だったらそうしちゃってたかも。
自分がブスだって思われてたら恥ずかしいから、予防線張って自分ブスだからさ〜って、言っちゃってたかも。
生きてて恥ずかしいと思う必要なんて本当はないのにね、難しい。
そんなチルっちも最近結婚したらしい。
嫁さんとチルな人生、歩んでってくれよな。