野水伊織

ホラー“と”映画のことばっかりな声優。通称ぞくちょ。 作詞/コラム/映画取材なども。

野水伊織

ホラー“と”映画のことばっかりな声優。通称ぞくちょ。 作詞/コラム/映画取材なども。

最近の記事

人生泥棒

人生初のマーダーミステリーをやったら、思いの外そのあと半日強引きずった。 誰に話しても「え?」となりそうな話だからここにしたためるに留める話だ。 プレイしたのは、マフィアのボスを殺した犯人を探す『何度だって青い月に火を灯した』という作品。人気が高いというのも頷ける、最後に待っているストーリーが切なく泣ける作品だった。 この作品で私は、カポというマフィアファミリーNo.2の男として生きた。 切れ者、No.2、成り上がり……。 表向きに公開されている情報はこんな感じだが、冊

    • 『異説 東都電波塔 弐』質問マシュマロ回答

      配信で話すまでには時間が経ちすぎてしまいそう…… ということで、マシュマロにて東都電波塔 弐にまつわる質問を募集してみました。 たくさん投げてくださりましてありがとうございます。 深く読み解こうとしてくださったり、様々な想いを抱いてくださっていたり、これだけ思い入れを持ってもらえているのだなと改めて嬉しくなりました。 もちろん私から回答できることのみではありますが…… こちらにお返事していきますね! 荒川さんを演じるにあたって A.どの役を演じてもそうなんですが、台詞が

      • 舞台『異説 東都電波塔 弐〜永遠なれ、星の樹』想いと裏話

        『異説 東都電波塔 弐〜永遠なれ、星の樹』 足を運んでのご観劇、配信でのご観劇、ありがとうございました。 警報が出るほどの台風の接近により、キャンセルせざるを得ない方がいらっしゃったり、そんな中でも無理を押してご来場くださったり、皆さまにはご不便をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。 本作は昨年上演の舞台『異説 東都電波塔 陰陽奇譚』の続編ということで、私はもちろん、なんと劇団Gaia Crewさん自体も続編舞台というのは初だったとのこと。 それなのに「やろう!」という

        • 神霊と生きる。「いざなぎ流のかみ・かたち ー祈りを込めたヒトガタたちー」

          横浜人形の家にて、「いざなぎ流のかみ・かたち ー祈りを込めたヒトガタたちー」を観てきました。 高知県香美市 物部町に伝わる陰陽道・民間信仰であるいざなぎ流にまつわる展示。 いざなぎ流…… 先に書いたように、かつての土佐国で独自に発展した、陰陽道の要素のある民間信仰。 太夫と呼ばれる神職が祭儀を執り行い、それを体系化して伝承してきたというものだ。 いざなぎ流の存在はこの展示を知ったことで初めて耳に(目に)したのだが、本物の御幣(ごへい)を見る機会だと思い足を運んだ。 と

        人生泥棒

          形而上的思惟で捉える「デ・キリコ展」

          東京都美術館で開催中の「デ・キリコ展」に行ってきた。 デ・キリコのことを知ったのはいつだろう? 美術には疎い私だけれど、シュルレアリスムの画家は好きだからその流れからか。 はっきりと覚えてはいないのだが、去年この大規模回顧展の開催を知って待ちに待っていた。 ……割に足を運ぶのが遅くなってしまったのだが。 シュルレアリスムの流れ、とは書いたが、デ・キリコ(ジョルジュ・デ・キリコ)の作品群は、正確には「形而上絵画」と称された。 形而上学——哲学的、抽象的、感覚を超越したもの

          形而上的思惟で捉える「デ・キリコ展」

          京介

          かつて立派なオタクだった私は、小学校高学年の時期には、クラスの友だちと交換マンガを描いたり、オリジナル小説を書いたりしていた。 その際にキャラクターの名前を考える中で、特に気に入った名前があった。それが“京介”。 なんとなく京という漢字ときょうすけという響きが好きで、その名前はやがてイベントなどで男装をした際、「双子の兄の京介です」と名乗るのに使っていた。 いつだったか、もう十年以上前のある時、おかしな夢を見たことがある。 夏の暑い日、私は海沿いの街に出掛けていた。 海の

          絶望した!

          以前は何でもかんでも「終わった\(^o^)/」となるスーパーネガティブマンな私も、最近では簡単に絶望することはなくなった。 ただどうやら、それもごく稀にあるらしい。 「観たかった映画の配信が終了してしまっていた時」だ。 その絶望が初めて訪れたのは、ルシオ・A・ロハス監督(Lucio A. Rojas)の『SENDERO』。 「これは観たい!」と辿り着いたその直前に、Netflixでの配信期間が終了していたのだ。 (邦題:『血塗られた道の悪夢』) ほんのちょっと前までは

          絶望した!

          取り留めもない話

          ドラマ『アンナチュラル』の第三話に、「人なんてどいつもこいつも切り開いて皮を剥げばただの肉の塊だ 死ねばわかる」という台詞がある。 『アンナチュラル』は何度観ても何度でも泣いてしまう一番好きなドラマだ。 その中でも中堂さんというキャラクターは、この台詞で常々私が思っていることを言語化してくれたから思い入れが強い。 これは仕事の技術を無視して性差別する人間に対して吐かれた台詞なのだが、それと同時に死生観の表現でもあると思う。 若干のネタバレだが、中堂さんは大切な人を喪った人物

          取り留めもない話

          名前のちから

          エクソシスト映画によく出てくる「悪魔は名前が弱点」というアレが好きだ。 悪魔は真の名を知られると服従しなければいけないらしい。反対に悪魔に自分の名前を知られると大変なことになるというのもある。 名前というのは人間にとっても魔物にとっても、変わらず大切なものだという考えは面白い。 私が今年出演した舞台『異説 東都電波塔 陰陽奇譚』でも、呼び名を名乗った怨霊が「名前が無いってのは良くないからね」と言う台詞がある。 名は体を表す。名がなければ、きっと体も薄れてしまうんだろう。 古

          名前のちから

          私の大切な誰かにとって、私が大切とは限らない

          人見知りだしあまり他人に興味のない私だが、もちろん大切な人はいる。 変に気負わずに会える、家族のような人たち。 でも、その人たちにとっても私が同じだけ大切な存在かどうかはまた別なのだ。 それを理解しているから、大切な人のことを想うときいつも躊躇する。 かつて私の母が癌になったとき、同じ癌を患う人たちの集いで知り合った友だちを紹介してもらった。 その人は私よりも年上で、母よりも年下の女性だった。 彼女は元々東京でイベント運営などの仕事に就いていて、だからこそより私の仕事や活

          私の大切な誰かにとって、私が大切とは限らない

          お誕生日、でした。

          昔から誕生日というものが苦手だった。 というより、自分のことが嫌いだったから、生まれてきたことを祝われても素直に喜べなかった。 でも今はそんなことはなくて、自分のことも好きになった。お祝いしてくれる人たちの気持ちをわーい!!と無邪気に受け取れるようになった(照れ臭さはあるけどね!!)。 だから私の周りの優しい人たちや、応援してくださる方々には感謝している。ありがとお!! ただ今も変わらないこともある。 サプライズが苦手。 “当日”はどうでもいい。 この二つだ。 あ、でも

          お誕生日、でした。

          後奏の時間

          ライブで歌を歌うことが決まるたび、「どうやって魅せるべきか」と常々悩む。 私が参加しているユニット・sweet ARMSの曲のように、振り付けがあるものならそれはそれで完結する。でも踊るような楽曲でもなく、振り付けをするようなものでもない場合もある。 Tシャツにジーンズ、そしてマイク一本で魅せられるようなスキルもない私は、いつも衣装からさてどうしようかと考える。 曲のイメージからどういう世界を見せたいのかを考えて、じゃあこんな衣装にしようと決める。 そして振り付けはなく

          後奏の時間

          夕暮れ時はいつも怖いから

          夕暮れ時はいつも怖いから、そわそわと落ち着かない気持ちになってしまう。 特にこの時期、秋から冬にかけての日暮れが早まる季節には。 かつて幼い私の門限は17時、夕方5時だった。 その時刻には17時を知らせる鐘がメロディを奏でてくれるので、時計など持っていなくてもそれが鳴り終わる前には家に着いていればよかった。 ただ家から離れたところで時間を忘れるまで遊んでいたときは別だ。 「これが鳴り終わるまでに家に着かなかったら怒られる」。そんな必死な思いで家へと駆け出したものだった。

          夕暮れ時はいつも怖いから

          運命の別れ道

          人生にはちょくちょく分岐点や別れ道みたいなものがあって、「あの時こうしていたら……」みたいなものは誰にだってあるんだと思う。もちろん私にも後悔した過去は様々ある。 でもまあそんな過去を振り返っても仕方ない。それよりも、今とこの先をどう生きるかが大事なわけですよ。 ネガティブな私も、意外とポジティブに生きている。 ただ、「あの時こうならなくてよかったな」という逆の記憶ならよく思い出すものがある。 まだ私が幼い時分、群馬の桐生市に住んでいた頃のこと。 当時は家族で、よく太田市

          運命の別れ道

          憧れの鍋

          今日は急に寒いじゃないの。 「雨が降って気温が下がるよ」という天気予報が出た日でも、普段の私は油断しない。 「涼しそうだな」と思って長袖で出掛けると、蒸し蒸しした湿度で汗をかく、なんてことがよくある、湿度にとてつもなく弱い北海道育ちだからだ。 でも今日は本当に寒いじゃないの。 こんな日は鍋だ!と、買い置きしていたお気に入りの「魅惑の丸鶏清湯鍋用スープ」で豚バラ白菜鍋豆腐入りを作って食べた。 お鍋は楽だしあたたまるし、寒い時期は頻繁にやるのだが、いつかやってみたい憧れのお鍋

          憧れの鍋

          へそ天と悪夢

          私は日中いつも眠い。気を抜いたらどこでも寝られそうなほど眠い。 まぁそれは夜ふかししてるからだというのはもっともな話なのだが、そもそもが18時くらいを過ぎると、何故だかパッと覚醒するのだ。 だもんで、必然的に夜ごはん後の時間からが作業や家仕事の本格的な時間になる。 この業界の人たちは割と夜型だという話を聞く。ひどい人だと昼夜逆転している人もいるし、ほぼ朝まで起きていたのに朝から仕事に出掛ける人もいる(いつ寝てるの?)。 そういう人はショートスリーパーなのかもしれないけど、そ

          へそ天と悪夢