J-POPを聴かない私でも・・・
TVを観なくなった代わりに愛用しているのが、電子書籍・動画配信と合わせて契約している音楽のサブスクだ。一ヶ月あたり約2,700円と少し割高だろうか。もっとお得なサイトもあるようだが、ポイ活に全く関心がないことと、一つの巨大な経済圏に浴してしまうことに抵抗感が拭えず、現状の選択に至っている。
音楽サブスクには様々なチャンネルが膨大にあり、気分や時間帯、季節に合わせて好きなものを選ぶことができる。朝はライトクラシック、夜はヴォーカルジャズが多いが、全体を通じて基本は洋楽だ。だが、そんな私でも唯一日本語チャンネルに合わせることがある。それが「桜J-POP」特集が立ち上がるこの時期だ。要は桜ソングのファンなのである。
他の国にも桜ソングのようなジャンルがあるのだろうかと、ふと思う。グローバルに見るとクリスマスソングがその一つにあたるだろうか。日本でもクリスマスソングは毎年、盛況だ。
でも、桜ソングの立ち位置は、やっぱり日本に固有のものだ。桜が咲き出してから華やかに舞い散るまでの時期が入学や卒業、転勤などと重なるため、どうしても出会いや別れ、再会への誓いなどのイメージに結びつきやすい。開花予想がメディアを賑わせ始めると、嬉々として満開を待つ一方で、どれだけ歳を重ねても言葉にならない切なさを感じてしまうのは、遠い日々の記憶を桜が映し出してしまうからだろう。
そのため、桜J-POPも出会いや別れ、友情などを唄うものが多く、クリスマスソングに負けず劣らず、毎年のように新しい曲がリリースされている。数十年を経た今でも、繰り返し流される古き良き曲も多い。
洋楽のクリスマス特集では日本の名曲のカバーが流れることがあるが、桜ソングはさすがに難しいだろうと思う。物理的には可能でも、やはり私達が「桜」に重ねる独特の意味を共有できない以上、その国や地域では曲への共感が生まれにくいと思うからだ。
少し前に「入学・卒業の時期を海外と同じように秋に移行しては」という議論があったが、もしそうなったら、桜ソングも今ほど作られなくなってしまうだろう。ただその場合も、「桜J-POP」チャンネルだけは生き残ってくれることを一ファンとして願う。
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