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【A Paris/パリ編】ルーブル美術館タイムトライアル(前編)

ルーブル美術館といえば、パリ観光の外せないスポットのうちのひとつ。
モナリザやミロのヴィーナスなど、世界的に有名な作品が多数展示されているパリを代表する美術館である。

これまでルーブルに行ったことのある人や、テレビの特集なんかで見たことのある人はご存知かもしれないが、ルーブル美術館は広大な敷地と膨大な展示作品を有している。
最も有名な作品はおそらく、前述のレオナルド・ダ・ヴィンチ作 モナリザだが、それ以外にも素晴らしい作品がいくつもある。

そう、いくつもあるのである。
今回はそんなルーブル美術館を1日でどこまで回れるのかという、無謀な挑戦をした1日についてお話ししたい。

決行準備 〜決行当日

ルーブル美術館には、リシュリュー翼、シュリー翼、ドゥノン翼と呼ばれる3つの建物があり、それぞれの建物は地下2階から地上2階までの5階建になっているのである。工事や作品修復のために閉鎖している展示室などもあるが、全て回ろうと思うと気が遠くなる広さである。

これまでにもルーブルを何度か訪れたことがあったので、今更「なにはともあれまずはモナリザを見たい!」というような気持ちはないが、あいにくこれまでの来訪が修復期間と被っていて見れていなかった「サモトラケのニケ」や、古代ギリシア・ローマ美術、ナポレオン3世の居室群、可能ならなんとか古代オリエント美術などにも足を伸ばしたいとは考えた。

ただ、私が訪れた時期はちょうどいくつかの有名作品が修復中で展示されておらず(たとえばドラクロワ作 民衆を導く自由の女神 など)、それらの作品を見ることは叶わなかった。
どうしても見たい作品がある場合は、事前にルーブル美術館の公式HPでその作品や展示室が見学可能か確認するのが吉。


それに加え、少し前にベルギーのアントワープを訪問してからルーベンス熱が高まっていたので是非見たいと思っていた「マリー・ド・メディシスの生涯」も、連作が展示されている部屋丸ごと修復のために閉鎖されており、泣く泣く諦めた。
なんなら諦めきれなくて、閉鎖された展示室の扉の前まで行って、「職員が出入りして扉の隙間からでもチラッと見えたりしないかな〜」と思いながらちょっと粘ったりした。もちろん扉は開かなかった。
ネロとパトラッシュの気持ちがちょっとわかった (??)

チャレンジ日はルーブルが夜間開館時間を延長している金曜日に決定。
ルーブルの開館時間は通常18時までだが、金曜は21時まで開館している。ただし、閉館30分前には退館しなければならないので、最大で実質約12時間弱の滞在となる。

展示作品や芸術家たちに敬意を忘れないため、展示作品の前をとりあえず駆け足で通り抜けて「見た」とするのではなく敬意を持って「眺める」こと、オーディオガイドの解説がある作品はきちんと解説を聴くことを自分に課すことにした。

レストランやカフェも館内にあるので、エネルギー補給も問題ない。(ただしなんでも高い)
オンラインで開館時間である9時からの入場チケットを購入し、オーディオガイドを予約。準備は万端である。来るなら来い(?)

出鼻を挫かれる 9:00〜

作戦決行当日。
早起きしてホテルを出、メトロに乗り、カルーゼル・デュ・ルーブルの入り口から美術館へアクセスしようと試みる。
が、すでに行列。

列は続くよどこまでも

ルーブル舐めてた!と思ったが、この行列はセキュリティチェックによる列だったので、思っていたほど待たずに列は進み、中へ入れた。よかった。
無事、少しでも身軽に動くために荷物をクロークへ預け、ニンテンドー3DSのオーディオガイドを手に入れ、地下1階シュリー翼から事前購入のQRコードチケットを見せてスタート。

ルーブル宮殿そのものの歴史を知るフロア。
ここは美術品というより、この宮殿そのものの歴史を知れる展示フロアである。

次に、階段を上がって0階(※)へ。古代エジプト美術と古代ギリシア美術を鑑賞して、人だかりができているミロのヴィーナスへ到着。
ちなみに、オーディオガイドもさすがに全ての作品に対して解説がついているわけではない。それでも解説が聞ける作品については可能な限り聞くことを自分に課していた。

※以降、この記事内の階層表記はフランス式で記載。地上階を0階とし、日本式2階は1階、日本式地下1階は−1階となる。

鑑賞する角度によって想像力を掻き立て、造形美を見せつけるミロのヴィーナス

流石にかつては王族が暮らした宮殿だけあって、ルーブルは建物そのものや壁面及び天井に描かれた絵であっても興味深い。建物そのものが芸術品で、ここで暮らしたり働いていた人々のことを想像するだけで楽しい。
広すぎて迷子になったりした下働きとか絶対居たのでは?

サモトラケのニケ

とりあえず、入った後にどう回るかきちんと考えていなかったので、行き着くままドゥノン翼に移動。計画不足否めない。

フランス絵画の展示室にたどり着くも、オーディオガイドに表示はあるけれど、「民衆を導く自由の女神」が飾られていない。案の定、「修復中のため展示していません」の表示があった。

大抵は展示室内に知っている作品や目を引く有名どころの作品があるとそこに目が行きがちであるが、それがないとなると、同じ展示室にある別作品に誘導される。

この時のそれは、ジェリコー作「メデューズ号の筏」だった。
以前来た時にも、おそらく「民衆の〜」と同じ展示室にあったはずだが記憶にない。
当時はオーディオガイドも借りていなかったので、有名作品だけさらうように見て満足!という贅沢な鑑賞をしていたようだ。
とても巨大で、かなりインパクトのある作品であったのに、今まできちんと見ていなかったとは。
ガイドの解説に耳を傾けながら、絵画の制作背景などに想いを馳せる。

ルーブルタイムトライアル鑑賞なんて、阿呆なことをやっている私が言ってもまるで説得力がないが、作品の制作背景や特徴などを細かく知りながら鑑賞できたら美術館はもっと楽しめる。

テオドール・ジェリコー 「メデューズ号の筏 Le Radeau de la Méduse」

ランチとかいってる場合じゃない 12:00〜

ジェリコーの作品を鑑賞してふと手元の時計を見ると11:54。
え?もうお昼時なの?
せめてドゥノン翼1階フロアくらいはランチ前に制覇したい。おそらくそのくらいにはオーディオガイドの充電が切れるので、ランチで一旦−1階の入場口に戻る時に交換してもらおう。

しかし、ドゥノン翼1階は広いしひとつひとつの絵画はどれも素通りや流し見を許さない。ぐーぐーお腹を鳴らしながら集中する。

「ナポレオンの戴冠式」として知られるダヴィッドの作品を鑑賞する大勢の人
レオナルド・ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母 Vergine delle Rocce」
王冠
まだまだ続く展示室

ふう。

まだまだこんなもんじゃないですよ〜とばかりに見る者を圧倒する作品の数々。
ドゥノン翼1階の展示室を端まで見たら、一旦モナリザを鑑賞しに戻る前にランチにしようと決める。
予想通り、オーディオガイドも充電不足になってきたので、交換も兼ねて入り口に引き返すことに。

すでに空腹を通り越して何も感じない無の境地に至っていた。
足も疲れてきたのでちょっと座りたい。
この時点ですでに入館から約6時間、時計は15時を回ろうとしていた。

続く。

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