任天堂とゲーム実況ビジネス
1.ゲーム実況と著作権
YouTubeなどでゲーム実況の配信が盛んに行われている。ただ、ゲームの映像部分は著作権法上、映画の著作物に該当し、権利者に無断で利用できない。
任天堂は2018年から同社のガイドラインに沿ってゲーム実況に著作権侵害を主張しない方針を取っている。また、YouTubeの「YouTubeパートナープログラム」など、同社が指定するシステムでの収益化も認めている。
2.ゲーム実況の創造性
動画配信サイトにおけるゲーム実況者は、任天堂などの知的財産を利用して広告収益を得るビジネスである。そのビジネスに対して、任天堂は創造性を求めるガイドラインを定めている。
3.保護と利用のバランス
任天堂は、同社の知的財産権による利益を確保し、クリエイターの権利も守ることで創作活動を維持しビジネス活動をしている。同社は、ゲーム実況者とどのような関係を築きたいのだろうか。
・製品の広告者として
「ファミ通」のようなゲーム雑誌、サイトと同じように広告宣伝としての関係を期待するであろう。
・実況者のアイデアを次の創作活動のヒントに
製品リリース前に、利用者ニーズを分析しているであろうが、実況者の実況内容やそれに対するコメントを次の創作活動のヒントにしてるのではないか。
4.著作権法の整備
毎年、著作権法は改正されている。その内容は、動画投稿・配信、ドローン撮影、違法アップロード、図書館資料の配信など、情報社会の対応に追われている。法の整備は自転車操業状態である。
5.情報リテラシー
法の整備を待たずとも、日本文化の発展のため、知的財産権や著作権の趣旨を知り、判断し、創作活動を守らなければならない。これは、情報社会の重要なリテラシーである。