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記事一覧
小説|親友はブタの貯金箱
少年がおこづかいを貯金するたび、ブタの貯金箱との友情は深まります。妹よりも長い付き合い。中身がいっぱいになったとき、ブタは心から少年をお祝いしてくれました。少年は貯金箱を一生割らないと心に決めました。
ある日、少年は妹に泣きつかれました。いじめっ子に大事な文房具を取られたというのです。両親には知られたくないと話す妹の目は真っ赤でした。少年は文房具を買ってあげようと財布を見ましたが、お金が足り
小説|贈りもの博物館
大きな駅の地下ホームへ降りるエレベーターにあなたは乗り込みました。「開く」と「閉める」ボタンの間には、見たことのないボタンがあります。プレゼントのピクトグラムが描かれたボタンでした。押してみます。
ややあって扉が開きました。ホームではありません。博物館のようです。あなたの他に誰もいません。正面の案内板に「あなたへの贈りもの博物館」と書かれています。興味が湧いて、あなたは奥へと進みました。
小説|倒置法のラブレター
元気にしていますか、君は。元気です、私は。倒置法が厳罰化されてから初めてのことですね、こうして手紙を出すのは。秘密警察にすぐ捕まるそうです、倒置法を使わなければ。聞きました、手紙も検閲されると。
離れていても思い出されます、君と過ごした日々のことが。君は癒してくれました、ひとりぼっちで寂しかった私の心を。し足りません、いくら感謝しても。心より願っています、君の幸せな新しい暮らしを。
嘘に