マルセリーノとマヌエル

「パンとワインのマルセリーノ」

『あんのこと』や『すばらしき世界』を見ていたらこの映画のことを思い出しもう一度見たくなりました。

杏や三上は
　　神に召されたのだろうか？

　じゅうぶん苦しんだのだからもう終わらせてもいいとか
　一番の幸せな時に終わりにしようとか

　マルセリーノは無垢でまだ死を学んでいない
　死よりも先に天国を知り同時に母を知った天国という場所へ行けば夢にまで見た母に逢える、少年がそう願うのは当たり前のことなのでしょうね

　友達のマヌエルは自由で恐れを知らず勇気をくれつねにマルセリーノと一緒にいてくれてとても信頼できる友達なのだけど、マヌエルにはいつでも会える母が居る、マルセリーノはそれだけが羨ましかったのでしょう

しだいにマルセリーノは母に会い思いが大きくなってゆくのです

そう『すばらしき世界』の三上も一緒の思いだったのでしょうね
　『あんのこと』の杏は母を憎んだが憎みきれなかった、それは産んでくれたからなのかも知れない
　この世に生まれてこなければ知ることのできない幸せも少しはあったのでしょう
　マルセリーノもそう感じているはず、幸せな毎日だったに違いない
　それでもマルセリーノは母に逢いたかった
　生と死の境目などまだ知らぬ無垢な子供だから素直にそれを願っただけなのだから
　もしかすると生きることと死ぬことは神からすると大差ないことなのかも
天国ではみんな笑顔で幸せなのかも
　死は、今の私達、いや「私」にはまだまだ理解できない遠くそして恐ろしい世界

　生と死は明らかに違う！

でも、そうだと思い込んでいるのかも知れないが今はそうとしか言えない

　私には死人の声は聞こえない
　その世界があるのなら、死んだ人が全ているのならとても窮屈そうに思ってしまうのは私だけだろうか
　ずっとずっとこちらの方が狭くて息苦しいのだろうか

　マルセリーノと杏と三上、天国はどうですか？

　あなたも
そこに居てくれると嬉しいです。