TVディレクターのおちつかない旅

2023年の春、念願だったイスラエル・パレスチナ旅行へ。 同年10月、ハマスの奇襲とイスラエルのガザ侵攻が始まりました。 日本に伝わるのは戦争・紛争のイメージばかり。 でも僕が出会ったのは、魅力的な人たち。 双方の“素顔”を少しでも知ってほしくて、noteを始めることにしました。

TVディレクターのおちつかない旅

2023年の春、念願だったイスラエル・パレスチナ旅行へ。 同年10月、ハマスの奇襲とイスラエルのガザ侵攻が始まりました。 日本に伝わるのは戦争・紛争のイメージばかり。 でも僕が出会ったのは、魅力的な人たち。 双方の“素顔”を少しでも知ってほしくて、noteを始めることにしました。

最近の記事

[番外編②]1年経っても消えぬ焦燥感

2023年10月7日を境に、光が消えた。 イスラム組織・ハマスが踏み切った越境攻撃。 直後から始まった、イスラエルによる猛烈な「反撃」。 以前から「天井のない監獄」と言われ 非人道的な状況に置かれてきたガザの住民220万人は、 完全に行き場を失った。 あの日失われた光は、1年後の今も戻っていない。 世界一の人口密度と言われるガザの町は、 圧倒的な軍事力を背景に徹底的に破壊された。 人々は、総出で生き埋めになった隣人を掘り起こす。 そんな最中にもまた、容赦なくミサイルが降り

    • Day②-2 エルサレム アラブ人街の生命力と違和感の正体は

      アラブ人地区で睨みを利かせるイスラエル兵 大きなバックパックを背負い、 いざ次の目的地、ベツレヘムへ! パレスチナ自治区の都市・ベツレヘムへのバスは、 旧市街の北の端、ダマスカス門の外側にある バスターミナルの「231番」から出るらしい。 そこはさっき、 ホテルのチェックアウトに間に合わせるため タクシーに飛び乗った地点からほど近い場所。 道中の新市街は相変わらず閑散。 休日を楽しむ家族連れやカップルもちらほらいるけど、 街を見渡すと、この閑散っぷり。 商店はほとんど、

      • Day②-1 エルサレム 無計画は災いの元

        無邪気さは時に凶器に 目覚めると、視界は真っ白。 そうか、寝ていたのは天井まで1メートルもない とてつもなく高いところにあるベッドだった。 下に降りる階段が急すぎる。 これまでに何人か滑落してるで、絶対。   それにしても、まだ朝の5時30分か。 昨日は何やかんや疲れ果てて 一度は床で寝込んじゃったもんな。 寒さと床の硬さで起きたけど。   それにしても、腹が減った。 昨日の晩飯はビール2杯とおつまみのオリーブ。 そして、部屋に戻ってから飲んだハイネケンと とんがりコーンも

        • [番外編]イスラエルの尋問は成田にて

          大阪在住の僕は、11時発の便で伊丹空港を発ち、 羽田からリムジンバスを乗り継いで、成田へ。 わざわざ成田に来たのは、 ここからイスラエルへの直行便が出ているから。 空港でバックパック用の鍵とネックピローを購入。 イスラエルのフラッグキャリア エル・アル航空のチェックインカウンターへ向かう。 その途中、エル・アル航空の成田便就航式の会場が。 式典終了後の余韻が漂う。 今月就航したばかりだもんな。   フライト時刻17時15分の2時間前、 15時10分頃にはチェックインカウン

          Day①-4 エルサレム 花の金曜と祈りの濃淡

          「シャバット」徹底的に働かない日 今夜のホテルにチェックイン。 預けていた大きな荷物も無事にピックアップできた。 そして、部屋はフロントがある建物にはなく、 1軒隣の別の建物にあるらしい。 212の鍵を持って部屋へ。エレベーターはない。 こっちの2階は、日本で言う3階。 部屋につながる廊下が暗い。 オートロックじゃないアナログな鍵なので、 いつでも誰でも部屋の前まで入れちゃう。 鍵を左に回す、開かない。 次は右に回す、開かない。 左へ右へと格闘すること2分。 …開いた。

          Day①-4 エルサレム 花の金曜と祈りの濃淡

          Day①-3エルサレム 人の営みと歴史の葬り方

          世界遺産に暮らす人々 エルサレム旧市街をあてもなく散策。 そこには、宗教にまつわる施設や商店だけでなく、 他の街と同様、人の営みがある。 嘆きの壁に隣接する広場から 階段を上ったり、坂道を下ったり。 気づけば、一般の家に行き当たる。 でも、その建物は日本のように 1つ1つが独立しているのではなく、 何なら城壁と継ぎ目なくつながっているようにも見える。 歩いていると、自分が今どの位置にいるのか、 どの階層にいるのか、よくわからなくなる。 さながら迷路のよう。一見さんは必ず迷

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          Day①-2 エルサレム 聖地にもいるのね

          異教徒も無料で… 男が一人、自動小銃に手をかけ、 いつでも撃てるぞと言わんばかりの雰囲気を醸す。 ここは、聖地への入り口。 イスラエル兵が睨みを利かせる検問。 小さなバッグ1つだけの身軽な僕は、 X線検査機を難なく通過。 パスポートのチェックもなし。 身構えた割には、あっさりとやり過ごす。 薄暗い階段を上り切ると、視界が開ける。 ここかあ。The Western Wall Heritage「嘆きの壁」。 この日は快晴! 青い空と足元のクリーム色がいいコントラストに。 本

          Day①-2 エルサレム 聖地にもいるのね

          Day①-1 エルサレム 武力と秩序と混沌と

          ピーマンと自動小銃 いよいよ始まるイスラエルとパレスチナの旅。 ホテルの朝食で1日目を始動。 このあたりのホテルは、だいたい朝食込みの値段のよう。 それにしても、品数が豊富! 玉子系の料理に、シーチキンとかの魚系。 サーモンみたいに身が赤いけど、 やせ細ったアジみたいに幅のない魚のマリネも。これはマス? パンも焼き立てのようで種類も豊富。 そして、やっぱり野菜が充実してるのよね、欧米の人が多いホテルは。 細かく刻んだ野菜のサラダもあれば、 ピーマンとかパプリカの細切りが取り

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          Day⓪知らない町に放り出された夜

          第一関門「入国審査」と「トイレットペーパー」 巨大なジェット機が重低音の唸りを上げる。 一定のスピードを保った機体は、深夜の駐機場所へ。 ベン・グリオン国際空港に到着! 商都・テルアビブ近郊の空港ターミナルビルは、広い。 所々に石工が作ったようにも見えるレリーフがあったりもする。 でも、何か特別に印象に残るようなものではない。いたって普通の空港だ。 ここで待ち受けるのは、第一の関門である入国審査。緊張の瞬間。 というのも、イスラエルのそれは、世界有数の厳しさと言われている

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