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若きサムライのために (3)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回)

説得力について。
ちょっと脱線する話から始めますが、近年英語公用語化を進める会社が現れています。一方で、英語化は国を滅ぼすと警鐘を鳴らす人たちもいます。
一体、どちらが正しいのでしょう?

僕自身は、両方正しいと思っています。

「両方正しい」というのも立派な答えであって、一方が100%正しくてもう一方が全く正しくないというような、ハッキリ白黒がつくことは、世の中にそう多くはありません。このことは、今のうちから意識しておく必要があると思います。

蛇足ついでに申し上げると、「分かりません」というのも立派な答えのひとつです。分からないという自覚があるのならば、調べるなり人に質問するといった次のステップに進めるのであって、決して恥ずかしいことではありません。

さて、英語化が正しいと考える所以は、今のご時世で英語は共通語だということです。
僕がいま働いている会社は本社がデンマーク、社長は南アフリカ人、副社長はスウェーデン人です。国籍も文化も違う人たち同士が商売をしたり、意見を交わしたりする為の、最も便利で有用なツールが英語なのだという現実は受け入れる必要があります。ですので、英語は学校で真面目に習っておいてください。

受験英語などと呼ばれる丸暗記の学習が、実戦でどれくらい役に立つのかという意見はあると思いますが、それはある程度英語ができて初めて議論できること。ある程度までは学校で教えてくれるのですから、それを活用しないのはむしろ損ではないでしょうか。

他方、英語偏重は国を滅ぼす、と警鐘を鳴らす人たちも一定数以上います。僕もこれには同意するところがあります。
英語はあくまでも意思疎通のツールであって、英語でものを考えたり、西洋人の思考回路まで真似る必要はありません。その点を勘違いして、日本語で学ぶべき事柄を蔑ろにしてはいけないと思います。

僕自身、これまで接してきた外国人から
「キュウとココノツはどう違うのか?」
「幕府とは何か? 将軍とはどんな地位なのか? この間天皇は何をされていたのか?」
「広島の辺りを中国地方と呼ぶが、チュウゴクとはチャイナと同じワードと聞いた。彼の国と何か関係があるのか?」
と聞かれたことがあります。

これらはみな、日本語で日本のことをキチンと学んで身につけていなければ答えられません。
そして、英語が出来るというのは、こういう場面で、その身につけた事柄を、相手に分かるような語彙や表現を用いて説明し相手を納得させることなのだろうと思いますし、それこそが説得力なのだと思います。

僕は、なんとか全部説明することができました。皆さんはいかがでしょうか?

英語については、別途お話ししたいこともあるのですが、上述のような質問をされた時、自分自身に説得力を持たせるためには、正しい答えという教養、そして適切な表現という知識の両方が求められるのだと考えます。そしてそれは英語に限った話ではないと思うのです。

(1,200字)

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