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タイムマシンに乗れないぼくたち
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短編集である。
自分が殺し屋だと設定すればこんな生活に耐えられる と思いながら
暮らす女性の話「コードネームは保留」
偶然出会った見知らぬオジサンとちょっとした時間を秘密に共有する
小学生の話の表題作「タイムマシンに乗れないぼくたち」
口笛を上手に吹く人が、変な人だと思っていた女性で、その人は地域猫のために不妊手術などを出したりする人だったという「口笛」
亡くなった夫のパソコンに下手な小説が書かれたファイルがあって、登場人物が美しい女性であったことにもこだわり続ける妻の話「夢の女」
(違うファイルには家族の写真がたくさんあって、救われる)
どこか、主人公然とはしていない感じの人物たち。
容姿をけなされたり成績もふるわなかったりいろいろな「馴染めなさ」を
抱えている人たち。痛いのである。
どこかで見たかなと思ったら、なろうなどの「集団転移」もので
ひとりで生き抜く決意をする主人公たちに似ているかもしれなかった。
とはいえ
召喚だの転移などは起こるべくもなく、人生は続くのである。
ひりひりしたり、たまにはほっこりしたり。
こういう人たちで今の日本はできている と思うのだ。
結界の中のよどんだ空気の中で、すごく小さな幸せをたまに感じたり、
誰かと共感できたようなちょっと嬉しい気持ちを持てたり
昔 小市民なんて言葉があったけれどそんなものではない
微小だったり極小だったり
そんな平和な生活。
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