つれづれなるままに~闇の覚醒
「闇の覚醒」感想 の続きのような
実は読み始める前に最後を読んでしまった。
オリオンがエルを出口へと押し出す。
エルの父は、エルの母を守るために、魔物目玉さらいに身を投げ出す。
というエピソードが一巻目に出てくる。
えっ と固まって読みだすまで時間がかかった。
状況はだいぶ違っているし、オリオンは強いから
大丈夫だと思いたい。
私はちょろいのである。
ハリポタで、ダンブルドアが「実は生きていた」
という落ちはないんだろうか とけっこう本気で思っていた。
ハッピーエンドを求めすぎるって
「実際の不幸」を見たくないからかどうか知らん。
小さいときからそうだった。
私の母は、「こんなにうまくいくはずがない」と
そこそこ本気でテレビに毒づく人だった。
長男は、ばぁちゃんの気持ちがわかる という。
私は嫌だった。
ドラマの中くらいハッピーエンドでいいじゃないか、と思う。
多少 設定が安直だったり安易だったりしても。
つまりあれか。
現実ではハッピーエンドが少ないことを
潜在意識のレベルでは感じていたのか。(感受性豊かか)(普通か)
ファンタジーは「生きて帰りし物語」だけれども
次に続く みたいに終わられてしまうと
まだ帰ってこれていないのである。
私と言う人間は、そういう感じで
わりと現実社会にちゃんと関わっていなかったんじゃないかとも思う。
「シャボン玉の中には 庭は入れません
周りをくるくるまわっています」
とはジャンコクトーの詩で、好きな詩のひとつであるが
しゃぼん玉と庭と どちらが現実で
どちらに自分がいるのか。
どちらにしろ なにかしら隔てられているのである。
エルもオリオンもそうだった。
エルは「負け犬」と自称する。
でも、よくよく気をつければ負け犬はたくさんいて
いろいろな種類の一人ぼっちがいて
それでも死んでよい人間たちではないことも気づくのである。
どうやって卒業チームを作ればいいのかわからない二年間を経て、
三年生で仲間らしきものができ
四年ではその先を考えていく。
ちゃんとした成長小説である。
550ページもある本の感想は、簡単には書けないのだった。
(0115)