あとがきはまだ
渡辺祐真さんという書評家が選んだ俵万智さんの選歌集である。
解説付きである。
俵さんはもう九冊も歌集を出しているのだという。
タイトルは
人生は長いひとつの連作であとがきはまだ書かないでおく
という短歌から取られたそうだ。
読んでいない歌集もあったので
今回良かったと思った歌をいくつか。
タンポポの綿毛を吹いて見せてやるいつかお前も飛んでゆくから
タンポポの綿毛を吹いてやったことはあるけど、こんなふうに思ったことはなかった。
明け方の錯覚たのし一歳の我が隣に寝ているような
これは思ったことはあったかもしれないがこういうのを書きたくて子を産んだようにも思える。(「プーさんの鼻」より)
私も友達が「子どもを生むって何もかも変わる」というような一言がずっと頭の中にあった。
尊敬はしないが感謝はしていると子に言われたり十六の春
母の言う「十分生きた、死にたい」はデッドボールで打ち返せない
これは「アボカドの種」から。
ですよねとしか言えない。
もう一つ「アボカドの種」から
優しさにひとつ気がつく ✖でなく〇で必ず終わる日本語
マルハラなんて言われる前に書かれた歌だそうだ。
アエラにヒコロヒーとの対談が載っていて、読もうと思ったのだった。
「アボカドの種」は予約中なのである。