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「なんもしなかった人」と「なんかしたかった人」のトークセッションに行ってきた
東畑さんの著書「居るのはつらいよ」を読み、「居る」ということの意味の広さを深掘りできたことがきっかけで、今回のトークセッションへの興味がとてもつなく高かった。
イベント名になっている「なんもしなかった人」と「なんかしたかった人」を見てわかるように全くの真逆。にもかかわらず、そのベクトルは同じ方向に向いているのが自然と手に取るようにわかるこの不思議な感覚を直接感じてみたかった。
結果、めっっっっっちゃくちゃ楽しかった。ものすごい楽しかった。
お二方が壇上に登り、座った途端何やら微妙な空気のもと、東畑さんの話からトークセッションがスタートした。
どのように進めて良いのか不安がっている様子で、レンタルさんは「簡単な受け答え」しかしない、と言われているから何を話してよいのかわからない、と正直に話されていた。
東畑さん曰く、通常だったら初めて会う人との会話は社交辞令で進む場合が多いが、レンタルさんに対してはそれではいけない、という思いがあったという。レンタルさん的世界ではなくなるのでは?という問いがあった。
レンタルさんは反社会的(やくざとかそういう意味ではなく)だという。何かを「する」のがサービスであるのに、「なにもしない」をサービスにするという強いメッセージがそこにある。そんな方に、社交から始めるのはふさわしくないと。
レンタルさんはそれを受けて、社会的であろうとするのを諦めた。頑張った結果、何もできなかったと語っていた。
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トークセッション中、思っていた以上にメモ書きをしていたんだけれども、まだまとめきれないので、印象的だった言葉を切り出すに留まろうと思う。
レンタルさん
・なんもしない価値は日常の生活の中の地味なところある
・(最近の依頼は)頭の中の整理のため壁打ち相手として求められる事が多い。人形でダメみたい。話を理解しているような相手でないとダメっぽい
・依頼者に自分のために人が来てくれるのいいですねって言われた
・依頼者側に遊びの感覚があってそれが分かっている人。親近者に話すと重くなりしんみりしてしまう。だから他人に頼む。僕はふざけた存在。遊び要素があるから楽になる
・依頼していることから演劇が始まっている。その演劇はリアルライフと虚構が混ざり合っているのがいい。演技することは恥ずかしいが、依頼という文脈の中ではガチにならず恥ずかしさもない。ガチにしたくない。
・ケアとセラピーの分け方は僕にない。ケアとセラピーはどっちもガチ。エンタメとガチの文脈(ここがちょっと曖昧だけど、私自身が一番に興味を持ったところ。)
・笑いにしていけないことがあるのは分かっているけど、そこも疑っている。
・(辛いことは)時間経ってから笑えるようになる
・なんもしない活動と「居るのはつらいよ」の接点は、「中動態」。いるとしないの間。
・先のことはわからない。なんかしようとしたけどダメだったから自分の意思に対してゼロ。失敗が目に見えているので都合に合わせていく
・(自分には)これしか残っていない(なにもしない人)、選択肢が死ぬかこれしかなかった。最悪死ぬだけだった。
東畑さん
・カウンセリングって聞くだけって言われるけど、ほんとはもっといろんなことをやっているのに、終わった時に、聞いてくれて助かりましたって言われる。ほんといろんなことやっているのに、いてくれた、聞いてくれたとして機能していた。
・ネタとベター。センシティブな問題はむずかしい。ネタにできると救われることもある。でも、ネタとして受け取られる喋り方をいかに成立させるか。
・笑えば健康になるではなく、健康になったから笑える。
・レンタルさんをどうやったら傷つけられるんですか?w
・レンタルさんは悟りを開いている
・グチはおもしろい。グチのでティールを聴きだすとおもしろい。
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「居るのはつらいよ」の編集者の方のツイート
レンタルなんもしない人×東畑開人さん@青山ブックセンター始まり〜。
— 白石正明 (@shiraishimas) June 16, 2019
最初から沈黙頻発。居づらい雰囲気(笑)。焦りのあまりか東畑さん「レンタルさん、反社会的ですよね」。動き出しました。 pic.twitter.com/Sxox7RUwFg
おお、レンタルさんの口から「中動態」の言葉が! ふたりの本の共通点として中動態があると。そもそも「レンタルする」と言ったときに、それは能動態なのか受動態なのか? このあたりの混乱によってうまくいってる、と(笑) https://t.co/lX1qQtcFNE
— 白石正明 (@shiraishimas) June 16, 2019
レンタルなんもしない人は、相手の期待値をまず極限まで下げて、そこから何かをやることによってあらゆることが称賛される、というスタイルを取っているように思う。内面化された「他者の期待」に応えるために右往左往し、達成すれば、新たな期待(=課題)を突きつけられる消耗ゲームから降りている。
— 白石正明 (@shiraishimas) June 16, 2019
確かに期待値に達成値を近づけるためには、達成を上げるのではでなく、期待の方をぐっと下げるほうが効率的だ。でもレンタルさんはたぶん、それが効率的だからやっているのではなく、それしかできないからやっている。「死ぬか、なんもしないか」と見得を切った時のレンタルさんの迫力にシビレました。
— 白石正明 (@shiraishimas) June 16, 2019
東畑開人さんがレンタルさんを「演劇的」と評したのと、レンタルさんが「中動態」と言ったのはたぶん呼応している。お金をもらわないことで「する/される」の分割線が入らない中動態的世界が保たれる。そこで行われるのは小さな演劇。交通費は舞台設定料だ。それを観客がTwitterの窓から見ている。
— 白石正明 (@shiraishimas) June 16, 2019
私はどちらかというと「なにかしたい人」側で、なにかしようとしてなにもできず、頭でっかちな自分に対し自己嫌悪する日々が長かった。
でも、人と人の関わり方が劇的に変化してきているこの時代において、様々な繋がりが結果的にそれぞれの正しさや幸せへ向かうようになんらかの関わりが持てそうだと昔より思えているのは、極度の不安から「救われた」証拠のようにも思う。
レンタルさんが語っていた「エンタメとガチ」というところに今日一番の惹かれポイントがあった。自分が考えていることの理想にとても近い気がしたから、そこをもっと深掘りしていきたい。
トークセッションの帰り、渋谷にオープンした北海道スープカレーSuageに行ってきた。めっちゃ美味しかった。
今日の空はめっちゃ光り輝いていて綺麗だったんだけれども、ちゃんと写すことができなくて残念。
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