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そして私の…

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そして私の【ハンドクリーム】

そして私の【ハンドクリーム】

【ハンドクリーム】
冷え込みが増す冬の夜、彼女はいつもの席に腰掛け、指先にハンドクリームを丁寧に塗り込んでいた。触れ合うたびに彼の温もりを思い出す。その手はもうここにはないけれど、彼のぬくもりは、こうしてクリームの香りに溶け込んでいる。遠くから聞こえる街のざわめきが静かに消えていく中、彼女は心の中で彼に再び触れるのだった。

そして私の【ハンドクリーム】
冷え込みが増す冬の夜、彼女はいつもの席に腰

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そして私の【カイト】

そして私の【カイト】

  【カイト】
♫小さな頃に見た
 高く飛んでいくカイト♪
♫母は言った「泣かないで」と
 父は言った「逃げていい」と♪

 そして私の【カイト】
♫小さな頃に見た
 パパが背中を掻いとー♪
♫母は言った「掻き過ぎや」と
 父は言った「痒いんだもん」と♪

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そして私の【イントゥジアンナー】

そして私の【イントゥジアンナー】

【イントゥジアンナー】

♫イントゥジアンナー
 イントゥジアンナ〜〜
 イントゥジアンナ〜〜〜♫

そして私の【イントゥジアンナー】

「あの動物ヤギかな?」
「あれはヒツジやろ」
「そーやんなーヒツジやんなー」
♫ヒツジやんなー
 ヒツジやんな〜〜
 ヒツジやんな〜〜〜♫

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そして私の【信号待ち】

そして私の【信号待ち】

【信号待ち】
夜の静かな街角。信号待ちをする小さな女の子、瞳は大きく輝いている。母親の手をしっかりと握りしめながら、赤い信号を見つめていた。車の音が遠くに消え、街灯の光が優しく二人を照らす。

緑の信号が点灯し、母親が微笑みながら一歩を踏み出す。女の子も一緒に歩き出し、静かな夜道を進む。信号待ちのわずかな時間が、二人の特別な瞬間となった。

そして私の【信号待ち】
夜の静かな街角。信号待ちをする小

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そして私の【ラーメン】

そして私の【ラーメン】

【ラーメン】
深夜の大阪、雨が降りしきる中、太郎は小さなラーメン屋の暖簾をくぐった。
店内には数席だけのカウンターと老店主。彼が黙々と作るラーメンは、太郎の心を温めるスープの一口で全てが伝わった。
太郎はその一杯に詰まった老店主の情熱と経験を感じ取り、食べ終えた後、何か大切なものを手に入れた気がした。
満足感に包まれた太郎は、静かに店を後にした。

そして私の【ラーメン】
深夜の大阪、雨が降りしき

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そして私の【トイレ】

そして私の【トイレ】

【トイレ】
深夜2時、アキラは突然の腹痛で目を覚ました。急いでトイレに駆け込むと、静まり返った家の中で唯一灯りが点いている場所だった。トイレの中は、意外にも心地よい静寂が広がっていた。

アキラは壁に寄りかかりながら、自分の不摂生な食生活を反省した。ふと、昔、母親が「夜中にトイレに行くと、幽霊に会うぞ」と言っていたことを思い出し、苦笑いした。トイレの狭い空間で、彼は過去の思い出と向き合い、そして今

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そして私の【陽射し】

そして私の【陽射し】

【陽射し】

小さな村の一角、古い家の縁側に座るミサキは、柔らかな陽射しに包まれていた。寒い冬が終わり、春の訪れを告げる暖かい光が、彼女の頬を優しくなでる。心地よい眠気に誘われ、目を閉じると、遠くから子供たちの笑い声が聞こえてきた。

その瞬間、彼女は少年時代の友人タケシとの思い出を思い出す。二人でかくれんぼをした日々、川辺で拾った石、笑い合った時間。陽射しの中で、過去と現在が交錯する中、ミサキは

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そして私の【散髪】

そして私の【散髪】

【散髪】

暖かな日差しが差し込む午後、ケンは祖父の古い理髪店に足を踏み入れた。店内には、年季の入った椅子と鏡が並び、懐かしい匂いが漂っていた。ケンは祖父の椅子に腰掛けると、祖父はにっこりと微笑みながらハサミを取り出した。

「最近、忙しかったか?」祖父は尋ねた。ケンは少し驚いたが、頭を軽く頷かせた。「うん、でも今日はゆっくりしたいんだ。」

祖父の手は滑らかで、ハサミの音が心地よく響いた。そのリ

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そして私の【冬支度】

そして私の【冬支度】

【冬支度】

初雪が降る朝、カズオは祖父と一緒に薪を割っていた。古い薪小屋には、去年の冬からの積もった灰が残っていた。祖父は「今年の冬も厳しいぞ」と言いながら、薪を一つ一つ丁寧に割っていく。カズオも真似をしながら、少しずつ慣れていった。

夕方、二人は暖炉の前で温かいお茶をすすりながら、静かな時間を過ごした。外では風が冷たく吹き始め、冬の気配が濃くなっていた。しかし、暖炉の火が穏やかに揺れる中、カ

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そして私の 【星空の約束】

そして私の 【星空の約束】

【星空の約束】 

夜空には無数の星が瞬いていた。子供のころ、ヒロシとタカシはいつも一緒に星を見上げていた。二人は「大人になったら宇宙飛行士になろう」と誓い合った。やがて、ヒロシは夢を追ってNASAに入社したが、タカシは地元の工場で働き続けた。

ある日、ヒロシが宇宙から地球を見下ろすと、一つの星が特に輝いているように感じた。「あの星はタカシかな?」そう思うと、ヒロシの心は温かくなった。

そして

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