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『フリーファイア』C.J.ボックス(著)野口百合子 (訳)
イエローストーン国立公園で四人の若者の射殺事件が起きた。しかも出頭してきた犯人は、“死のゾーン”と呼ばれる法律の抜け穴を巧妙に使って釈放されてしまう。調査を依頼された猟区管理官ピケットは、犯行動機に大きな企業陰謀がからんでいることに気づく。全米ベストセラーの超一級必読ミステリー。
ジョー・ピケットシリーズ6冊目。法の抜け穴をついた完全犯罪という強烈なツカミから始まり、渦巻く欲望、真相、裏切りと、ハラハラドキドキで2日で読んでしまった。
今回も、事件の裏には巨額の金があり、欲にまみれた人間があり、それが内部にも居るという、いつもの構成ではあるのだけど、微妙にパターンが違うので、全然飽きない。
イエローストーン国立公園の資源とバイオ企業になんの関係が? と西部劇にハイテクをぶち込んでぐるのが実に新鮮。
物語の横軸も相変わらずで楽しい。娘たちは成長し、ミッシーはステップアップのために新しい男を籠絡中、ジョーの家族の過去話、父との再会など、盛り沢山。ミッシーは完全に敵対したし、次女ルーシーは頭悪そうな感じだし、どうなってゆくのか心配で目が離せない(笑)
そして、毎度のことだが、幸福と不幸のバランスが絶妙。油断した頃に不意打ちで不幸を投げかける。何度も!
まさかこんなに後味が微妙なラストを迎えるとは…。
シリーズを通して、味方が敵になるパターンは何度もあったが、今作でも健在。今回も関係がどんどん変わってゆく。
ネイトとポーテンソンはどうなるのか、知事は果たして信用できるのか。もやもやする…。
そして、ジョーは車を何台駄目にするのか(笑) 次巻も楽しみ。
ちなみに、舞台のオールド・フェイスフル・インをネットで調べたら、イメージより遥かに素敵だった。泊まってみたいなぁ。