【LGBT】LGBT史上に残る事件。
いま日本でLGBTは、誰もが知る言葉になったと言っても過言ではない。
いつからだろうか?
なんとなく、ぬるっと普及?
実のところ、事件と言えるこの出来事がきっかけだったとおもう。
映画『チョコレート ドーナツ』だ。
ゲイカップルがダウン症の子どもを引き取って、3人で家族のように暮らしていくという話。
2012年にアメリカで公開され、海外で非常に高く評価された。
ところが日本での公開は難航。
そもそもゲイとダウン症の話なんか紹介できないと、ほとんどのテレビ局や映画館が扱わなかった。
結局2014年にたった1館の映画館で公開された際、映画コメンテーターのLiLiCoさんは王様のブランチでこの作品を泣きながら紹介し、「高い評価を受けた傑作が、偏見によって紹介もされなかった」とコメントしたそうだ。
その翌週から続々と全国で上映が決まり、最終的に100を超える映画館で上映され、国内での興行成績は1億円を突破した。
こうして『チョコレート ドーナツ』の日本公開は、大きな波乱と波紋を呼び、同時に、あまりにたくさんの問題が混在していた。
同性愛嫌悪の問題。
ゲイカップルが親になること。
里親問題。
施設の子どもたち。
周りの少数者への無理解、偏見、誤解や勘違いの数々。
海外を含め実際にゲイ同士が里親を希望するケースは少なくない。
実例もある。
令和になっても「同性愛者が隣に住んでいたら嫌だ」と言う国会議員がいるが、「LGBT支援の度が過ぎる」「生産性がない」と発言した議員もいた。
それ以外にも、
障がい者への偏見や差別、障がいのある子どもについて。
母親の薬物、育児放棄。
追いつかない法律。
ゲイカップルにしろ、ダウン症にしろ、ほんのつい最近まで「見ちゃダメ」と言って母親が子どもの目を覆う、という仕草は一般的だった。
映画の中でも現実でも同じ、周囲がどうあるべきだろうか。
そして、この話は実話に基づいている。
映画として芸術的かというと、あまりそうではなかった印象だけど、
理不尽なノンフィクションの世界を描いたものとして重要であり、
LGBT史に残る、大きな転機となる作品になった。
ところでわたし自身はこの映画を試写会で観た。
検索すると「試写会+シンポジウム」が幾つか出てきた。
そう、当時「シンポジウム」といって、専門家の話をワークショップのような感じで聞きに行くというのが流行っていて、逆に言ってしまえば、わざわざワークショップのようなところに行くような、特に関心が高い熱心な人向けのものでもあった。
都会的で、意識高い系、みたいな。
何か発信する人や、行動する人、もしくはアクティヴィストという面持ちの人たちの間だけで、いろんなことが行われ、イベントが開かれ、盛んに議論されていた。
その声は、社会にはなかなか届かなかった。
この頃からゲイは「オネエ」から「LGBT」へ、テレビタレント的なものから現実社会へと、少しずつ落とし込まれていったきっかけの一つである。