この町は私が育った場所によく似ている。 職場までの通勤の途中に工業高校がある。私も工業高校出身なので作業着を着た学生がいる光景が懐かしい。 ちょうど道路沿いに、手前から弓道場、野球場、テニスコートが並んでいる。私は高校で弓道、中学でソフトテニスをしていた。どちらも見慣れた景色であの頃の時間が戻ってくるようだった。 野球場を見ると、いつも思い出す。 私の2つ年下の弟は地区でソフトボールをしていた。父に私にもソフトボールをさせて欲しいとお願いしたことがあった。しかし何度お
久しぶりに聞くぴっぱーの声は相変わらずだった。 歳を重ねる度に、私はぴっぱーに似てきたと感じる。 私に計画性がなく、行動力しかないのは父譲りだと思う。 読書が好き、お城が好き、お酒が好き、歌うのが好き、釣りが好き、バイクも父の影響で免許を取った。父も多趣味だが、今のマイブームは登山らしい。私も登山に興味を持っている。 父からの久しぶりの電話で、「最近どうね?人生楽しいか?」と聞かれた。 「やっと楽しくなってきたところ!」私はこう答えた。今年はやりたいことをとことん実行
大好きだった先生の言葉だ。 ヒールの音がカツカツと廊下に響くと教室にピンと緊張感が漂う。私も自然と背筋が伸びた。その先生は国語の先生だった。私たちが間違えたことをすれば厳しく指導し、喜ばしいことがあると褒めてくれた。私は自分の子供のように接してくれる先生が好きだった。先生に憧れ、国語の先生になりたいと考えたこともあるほど好きだった。母にもよく先生の話をするほど好きだった。あと、名字ではなく名前にさん付けをして丁寧に呼んでくれるところも好きポイントだ。 その先生が授業中に言
以前までは作り込まれたアイドルが好きだった。 昔からアイドルが好きで、その中でもプロ意識が高く、可愛いキラキラ王道アイドルキャラを確立しているような子が好きだった。 今は、自然体で素のままのアイドルが好きだ。それさえもブランディングされて作り込まれているのだとすれば、それを含めても好きだ。 ナチュラルで着飾らない、人間味あるところが愛おしい。無理してないところが心地いい。 素のままの推しを私は推したい。推しには幸せに生きてほしい。アイドルだって私たちと同じ人間なのだか
いつも通り転けただけだと思ったが、その瞬間はやってきてしまった。 先日、知人とスノボに行った。まだ食堂で1回しか喋ったことしかない彼を友人と紹介するには、まだ早い。 お昼に集合し、前半は5本くらい滑った。リフトに乗る間ずっと互いに自己紹介やスノボについて話した。少しずつ友人に近づいてきたのではないだろうか。お昼ご飯は彼の提案でピザを食べた。 事件はピザを食べた直後だった。 いつも通りバランスを崩して前から転けた。手を着くと左腕がぐにゃりと変な方向にいくのが見えた。それと同
昨夜、ふと好きだった人を思い出した。 あんなにも傷つけられて悲しい思いをしたはずなのに、昨夜は穏やかで幸せな思い出ばかりが蘇ってきた。 彼の好きなところはいくつもあったが、いつも私が欲しい言葉をくれるところが好きだった。毎日のように素敵な言葉たちで私の心を埋めつくしてくれた。彼の言葉たちが無性に恋しくなった。あの日からブロックしたままだったSNSのブロックを解除し、メッセージを出会った日までスクロールする。 出会った日から終わりの日までの言葉たちに目を通すと、彼のことが
私にはお前のことなど考えてる暇はないのだ。 私は小さいことでイライラしたりするタイプではない。しかし、言葉の選択や言い方には敏感で、今の言い方どうなの?と気になってしまう。仕事が終わり、家に帰ってからも思い出しては悶々としていた。 前の職場の先輩に、そういうことがあると相談すると先輩はこう言った。 「そんなやな奴のために、あなたがそいつのことを考えて時間を無駄にするのは勿体ない」と。 その通りだった。仕事の時間でもない、プライベートの時間まであいつのことを考えてイライラす
私が幸せを感じる3つの時間を紹介したい。 まず1つ目は睡眠時間だ。 私はどこでも、いつでも、何時間でも寝れるのが特技である。寝つきが悪くて眠れないということはほぼない。目を瞑って2秒もあれば寝てしまう。この寝る直前の数秒が幸せなのだ。予定がない日は余裕で15時間以上寝る。20時間寝る日もある。 ちなみに起きるのは大の苦手で、友人に「のーとくの起こし方」という本を出版してくれと頼まれたことがある。目覚ましはライデンという火災報知器レベルの音を鳴らす目覚ましを愛用している。
近頃私は、父の言葉をふと思い出す。 小学生の頃はよく、父と私と弟と3人でお風呂に入っていた。そのときに父は大事な言葉や生き方を教えてくれた。 「普通っていうのが1番難しい」 高校生になった私が、父からの言葉の中で最も好きだった言葉だ。 普通に学校に行く、普通に会社に行く、普通に生活する。普通って自分が決めた普通と他人が決めた普通は違ったりもする。そうなると、普通ってなんだろう?とも思ったりする。価値観の違う普通が混ざりあっている社会の中で、普通という言葉が存在しているこ
あの子が言っていた。「それもご愛嬌」と。 その日は、専門学生の頃の友人と新大久保でランチをし、韓国コスメや雑貨屋を巡っていた。 私は韓国のアクセサリーが好きで、その日はピアスを探していた。ゴールドの輪っかの先にパールがついたピアスを手に取ると、そのパールは綺麗な楕円形ではなく歪な形をしていた。その歪なパールをじっと睨んでいる私の隣から「それもご愛嬌だね」と友人に言われた。今までの私だったら、迷うことなく今手にしている歪なパールのピアスを戻し、同じ種類の綺麗なパールのピアスを
noteを知ったのは、弟の結婚式の次の日だった。 弟の高校の時の部活の友人のnoteが母へ送られてきた。車を運転する母の横で、私は小学生の頃に戻ったように出来るだけ丁寧に音読をした。 笑いを入れつつも、ワードセンス溢れる素敵な言葉たちで綴られた弟の友人のnoteで私と母は笑いながら泣いた。 弟は、よくいうと怖いもの知らずで、ユーモアがある自由な人間だ。悪くいうと敵を作りやすく、ルールを守らず、迷惑をかけまくる。そんな弟のことをディスりつつも、最後には魅力的だと、弟のよう
鶏と野菜の黒酢あん定食。これが大戸屋で頼む、いつものメニューだ。 だいたいどの飲食店に行っても、冒険はしないタイプでお決まりのメニューというものがある。 今回は、中野の大戸屋へ行った。初めての中野の大戸屋だったが、お店の雰囲気が温かくて穏やかで素敵だった。どの店員さんの接客も丁寧で、連携が取れていた。大戸屋はどの店舗も1人席が多く、1人でも気軽に入れるところがいいところだ。 ボタンを押してまもなく店員さんがきた。いつも通り、なんの迷いもなく鶏と野菜の黒酢あん定食を注文す
あの頃の私は消えたいと思うことが多かった。 死にたいとかではなく、とにかく消えたかった。嫌なことがあったとかではなくても、消えたいと思ってしまうのだ。 このままスっと消えてなくなりたい。透明でもいいし、夜の暗闇でもいい。どこかへ紛れてしまいたいような気持ち。 刺激がなく、生きている感じがしなかった。 最近は消えたいと思うことが減った。私にもよく分からないが、あの頃と何か変わったのだろうか?
当時高校生の私が好きだった人に言われて傷ついた言葉は、「声が好きじゃない」だった。 幼少期は極度の人見知りで引っ込み思案な性格だった。学生になっても声が小さく、人前で発表することが苦手だった。 小学生の頃は合唱部に入部していた。歌うことは好きだが、歌を聞かれることには抵抗があった。1人ずつ順番で歌って音程のチェックをする時間があの頃の私にとって苦痛だった。 高校生の時、同じクラスに好きな人がいた。私の事をどう思ってるか聞いて欲しいと仲のいい男友達にお願いした。すると、数
無意識にYouTubeを開くと、櫻坂46『夏の近道』の動画が上がっていた。 私は学生時代、女性アイドルの大ファンだった。今ではYouTubeはチェックしているレベルの、たまにDVDを買うレベルに成り下がっている。 櫻坂3期生ということはまだ入ったばかりか。と、甘く考えていた。アイドルは、歌もダンスも苦手な素人が徐々に成長していくのを応援するのが醍醐味だ。と、思っていたのに。 まず歌い出しで、透明感のある歌声に心を掴まれた。そして全員ビジュがいい。みんな小顔で、手足が長く、
「おすすめの本を教えてほしい」と友人に言われることがよくある。 確かに私は読書が好きだが、おすすめと言われると悩む。私は文章の好き嫌いが激しい。日常生活ではあまり使わないような難しい言葉や文章は読めないし、言い回しが好きでない文章も読めない。そんな私がその本を買うか決める方法がある。 ①まず最初の1行を読んでみる 直感的に好きかどうかを確認する。 ②次に1ページ目を読んでみる スラスラと読むことができるかを確認する。 ③2ページ目に進みたいと思うかどうか 早く続きが読