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環境は人を変える

大好きだった先生の言葉だ。

ヒールの音がカツカツと廊下に響くと教室にピンと緊張感が漂う。私も自然と背筋が伸びた。その先生は国語の先生だった。私たちが間違えたことをすれば厳しく指導し、喜ばしいことがあると褒めてくれた。私は自分の子供のように接してくれる先生が好きだった。先生に憧れ、国語の先生になりたいと考えたこともあるほど好きだった。母にもよく先生の話をするほど好きだった。あと、名字ではなく名前にさん付けをして丁寧に呼んでくれるところも好きポイントだ。

その先生が授業中に言った、『環境は人を変える』という言葉を私は今でもたまに思い出す。例え同じ双子であっても、その後にどんな家族や友達に囲まれてどんな環境で過ごすかによって良くも悪くも人は変わるということを教えてくれた。その言葉に当時の私は、環境によって人は変わるのかと衝撃を受けた。

中学生の私は上手く周りとコミュニケーションを取れず、学校に行きたくない日も多かった。授業も退屈で、ノートの隅に絵を書いたり友達への手紙を書いて時間を潰していた。授業で発表するときも自信がなく声が小さかった。反抗期で母との関係も上手くいかず、家出ばかりしていた。悩みも多く、誰に相談すればいいのかさえ分からなかった。

長く一緒にいる友人の口癖や口調が自然と移る。友人のポジティブなマインドが私に移る。友人のいいなと思うところは取り入れる。悩みや相談に的確にアドバイスしてくれる友人がいる。私に関わってくれる人たちによって今の私は構成されていると言っても過言ではない。

先生。ネガティブで内向的だった私はこんな大人になりました。先生が言った通り、あの頃の私を、私の周りの大好きな人たちが今の私に変えてくれました。

この言葉を思い出す度に先生のことを思い出すのだが、今、たまらなく先生に会いたくなった。

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