【三国志の話】三国志の登場人物リストをつくる(その1 人数)
はじめに
果たして合計何人のリストができるのか。
個人的に調査を続けている課題でして、誰もが納得できるようなものではないにしろ、自分なりの結論が出るまで、不定期連載の形にしようと考えています。
目的
歴史研究のためではなく、ゲーム評論のための参考資料の位置づけです。
なので、『三国志演義』に登場する架空の人物も入ります。
「周倉も関索もいません。」と言うわけにはいきませんので。
基準
古いほうでは、党錮の禁(西暦160年代)に関わった世代は入れたいと思います。例えば劉表(142年生まれ)は、党錮の禁の対象者でしたので。
彼より古い世代も、例えば劉焉とか、曹操の父曹嵩とかと同じ世代までは確実に入れたい。
となると、130年前後に生まれた人物あたりからということになりますが、第一次党錮事件で追放された陳寔は104年生まれ。若いころの曹操を褒めちぎった橋玄も、109年生まれ。
なかなか、機械的に誕生年で区切ることは難しいかも。
新しいほうでは、司馬炎の子の世代くらいまでは入れたい。晋の二代皇帝司馬衷(恵帝)は259年生まれ。
250年代生まれであれば、西暦280年の三国統一にぎりぎり関与した世代と言うことができるかと思います。
参考文献
ビジュアル三国志3000人
世界文化社 渡邉 義浩 (監修)
本書にはタイトル通り、ちょうど3000人が載っています。
ただし、人物事典というよりも、百科事典や図鑑を目指しているように思います。三国時代の人ではなくとも、三国志に縁のある人物が多く入っている点に注意が必要です。
三国時代の背景としての前漢・後漢の人物や、さらに昔の伝説的な人物
例えば、前漢の名将、衛青や霍去病。あるいは、ある人物が「いにしえの〇〇のような人物だ」と評価されたとしたら、その〇〇にあたる、例えば管仲とか呂尚(太公望)などの伝説的な人物も、本書では紹介されて1/3000にカウントされています。
三国志作品の普及に貢献した人物
裴松之や羅貫中はまだいいとして、日本人の吉川英治や横山光輝まで、本書には載っています!
本書から純粋にそれらを除いて三国時代の登場人物を抽出するとしたら、2800人くらいになるでしょうか。
三国志全人名事典
徳間書店 『中国の思想』刊行委員会編著
本書の帯に、3734人と書いてあります。
文字通りの人物事典で、正史(本文および裴松之の注)に書いてある、人名と思われるもの全てを網羅している。しかも、時代が違う人物は載せていない。
これは大変素晴らしい!のですが、注意点がいくつかあります。
三国時代の人物であっても正史(三国志)に書かれていなければ載らない
これは当然と言えば当然なのですが。
特に、後漢末期の人物で、『後漢書』には登場するが『三国志』には登場しない人物がかなりいるので困ります。
例えば、悲運の才媛蔡文姫として知られる蔡琰は、本書には載っていません。
さらに、三国時代の人でも『晋書』にのみ登場する人物が多数います。
例えば、于禁とともに関羽に降伏した胡脩・傅方。
あるいは、晋の宣帝こと司馬懿が滅ぼした公孫淵の配下たち。
同一人物と思われる人名を別々に記載している
例えば、蜀の部将「高祥」と「高詳」(ともに「こうしょう」)や、黄巾賊の「襲都」「共都」(ともに「きょうと」)、烏桓族の首領「速僕丸」と「蘇僕延」などは、一般的には同一人物と考えられていますが、本書では別人の扱いです。
もっとひどい例としては、「張燕」と「張飛燕」、「張晟」と「張白騎」というように、一人の人物が本名と異名とで本書に二回づつ登場しています。
人名ではないものを人名と認識している
例えば、「白波」や「慕容」。前者は韓暹など河東郡に拠った黄巾賊の残党を呼んだもので、後者も個人名ではなく鮮卑の部族名のことですね。
これらの重複を除かねばなりませんが、除いたとしたら、本書からは3600人以上は残るでしょう。
現在地と今後の予定
まずベースとして、自分でコツコツ作ってきたエクセルの人物リストがありました。
そこにコロナによる自宅時間増加のおかげで、上記の「ビジュアル三国志3000人」と「三国志全人名事典」を(図書館で借りたりして)マージ(統合)するという作業ができました。
その結果、リストの人数は1595から4362と、2.5倍以上!になったのですが、ここから「時代が違うなど、間違って加えた人物を除外する」「同一人物を二度カウントしていたら統合する」という作業をしていきます。
特に後者は、資料によって日本語での読み方が違うものを別人とカウントしてしまっているケースもあるので、けっこう大変です。
さらにそこから、個人的に要調査リストに入れている人物たち(ざっくり300人くらい)を、今回のマージによってリストに入ったのかをチェックして、いなければ追加するという作業をすることになります。
整理している過程で、面白い統計やキャラ立ちした人物が見つかったら記事にしてみようと思います。
(その2 同姓同名編)はこちら