「検討します」を乗り越え、本音と合意を得る実践トークスクリプト #3
はじめに
前回までは、「検討します」という曖昧な返答を具体的なアクションや次のステップに変えるための10のチェックリストを解説しました。
今回は、実際の商談シーンを想定した詳しいトークスクリプトを示しながら、どのようなタイミングでどんな問いを立てれば、相手の本音を引き出しやすくなるのかを解説します。これをマスターすれば、“検討します”で終わりがちな商談を前進させる大きな武器になるはずです！
実践シーン：BtoBサービスの導入提案
シーン1：課題と優先度の確認
あなた：「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。まずは御社が今回のプロジェクトに取り組む経緯を、もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか？」
お客様：「こちらこそよろしくお願いします。実は社内のデータ管理が煩雑で、上層部から早く改善策を出せと言われているんです。」
あなた：「なるほど。ここまで重要視されているのは、やはり業務効率の面が大きいですかね？」
（チェック1: “時間を使う理由”を深堀り）
シーン2：提案への初期反応を探る
あなた：「私たちのサービス概要を簡単にご説明しましたが、現時点でどんなご感想をお持ちですか？ 率直に聞かせていただけると助かります。」
お客様：「そうですね、機能面は魅力的なんですが、正直コスト面がちょっと心配です…」
（チェック2: “個人的な手応え”を確認）
シーン3：相手の理想的な進め方をヒアリング
あなた：「たとえば、まずは一部の部署だけでテスト導入してみる方法もありますが、○○様としてはどのような進行が理想ですか？」
お客様：「段階的に導入できるなら検討しやすいですね。」
（チェック3: “進め方の希望”を聞く）
シーン4：意思決定の基準を明確化
あなた：「ここで導入の可否を判断される際に、特に外せない条件は何でしょう？ コスト以外にも、サポート体制や導入スピードなどありますか？」
お客様：「やはりサポート体制は重視したいですね。現場からの問い合わせも多そうなので。」
（チェック4: “重視するポイント”を特定）
シーン5：社内での次アクションと懸念を把握
あなた：「上層部の方や他部署へ説明するために、どんな資料やデータがあると助かりますか？」
お客様：「実際の導入事例と、コスト削減効果がわかりやすい資料が欲しいです。」
（チェック5, 6: “社内のステップ”と“ネックの確認”）
シーン6：次の具体的アクションを提案
あなた：「承知しました。実績データと導入事例をまとめた資料をすぐにお持ちしますね。テスト導入プランの見積もりも合わせてご用意します。これでよろしいでしょうか？」
お客様：「はい、部長にも話を通しやすくなりそうです。」
（チェック7, 8: “次ステップの言語化”と“追加要望のヒアリング”）
シーン7：熱意とフォローアップの許可を得る
あなた：「私どもは御社のプロジェクト成功に向けて、全力で伴走するつもりです。実績データをお渡ししたら、改めて今週中にオンラインミーティングでご説明しましょうか？」
お客様：「ぜひお願いします。具体的な数字を見ながら話したいですね。」
あなた：「ありがとうございます。では○曜日か○曜日あたりにお時間いただいてもいいでしょうか？」
お客様：「はい、確認して連絡しますね。」
（チェック9, 10: “熱意を伝える”＆“フォロータイミングを確保”）
クロージングを成功させる3つのコツ
相手のテンポを尊重する
こちらのペースだけで話を進めると、警戒心が高まる場合も。相手が検討に必要な時間を確保しつつ、サポートをこまめに提示しましょう。
断る選択肢をあえて提示する
「もし今回のご提案が御社にそぐわないと感じられたら、遠慮なくご相談ください」と最初に伝えると、相手は逆に本音を言いやすくなります。
次の連絡日程を必ず決める
フォロー日程が決まっていないと、商談が後回しにされてしまうリスクが高まります。コンタクトのタイミングを確定させましょう。
おわりに：曖昧な返答を“具体的アクション”へ変える
「検討します」という言葉は、相手にとっては“防御フレーズ”として使われることがあります。しかし、そこには本来、何らかの不安や事情が隠れていることが多いのです。
その不安を解消し、具体的な次のステップへ導くために必要なのは、相手の本音を引き出すための質問力とサポート意識。今回ご紹介したチェックリストやトークスクリプトを活用して、相手の相談をよりスムーズに進めてみてください。
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