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TRIPS協定16条 与えられる権利

 TRIPS協定16条では、商標権の内容及び保護範囲について規定しています。

 登録商標の排他的権利範囲(差止請求しうる範囲)は、(i)登録商標と同一又は類似の商標を、登録商標に係る商品等と同一又は類似の商品等に使用し、(ii)その使用の結果、出所混同のおそれがある場合、です(TRIPS協定16条(1))。「同一の商品又はサービスについて同一の標識を使用する場合は,混同を生じさせるおそれがある場合であると推定される。」(TRIPS協定16条(1))ため、実際の混同が生じていることまでは要求されていません。日本では混同のおそれが無くても類似していれば商標権侵害になるので(商標法37条)、日本の保護は実質的にTRIPS協定と同等と思われます。

 パリ条約6条の2は、サービスマークについても準用されます(TRIPS協定16条(2))。つまり、サービスマークについても保護が与えられます。また、商標の周知性を判断する際には、公衆のうち、商標に関連ある分野の者に周知であれば良いです(TRIPS協定16条(2))。

 パリ6条の2の規定は、非類似の商品またはサービスに準用されます。ただし、TRIPS協定17条に例外が規定されています。

・TRIPS協定16条 与えられる権利

(1) 登録された商標の権利者は,その承諾を得ていないすべての第三者が,当該登録された商標に係る商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスについて同一又は類似の標識を商業上使用することの結果として混同を生じさせるおそれがある場合には,その使用を防止する排他的権利を有する。同一の商品又はサービスについて同一の標識を使用する場合は,混同を生じさせるおそれがある場合であると推定される。そのような排他的権利は,いかなる既得権も害するものであってはならず,また,加盟国が使用に基づいて権利を認める可能性に影響を及ぼすものであってはならない。
(2) 1967年のパリ条約第6条の2の規定は,サービスについて準用する。加盟国は,商標が広く認識されているものであるかないかを決定するに当たっては,関連する公衆の有する当該商標についての知識(商標の普及の結果として獲得された当該加盟国における知識を含む。)を考慮する。
(3) 1967年のパリ条約第6条の2の規定は,登録された商標に係る商品又はサービスと類似していない商品又はサービスについて準用する。ただし,当該類似していない商品又はサービスについての当該登録された商標の使用が,当該類似していない商品又はサービスと当該登録された商標の権利者との間の関連性を示唆し,かつ,当該権利者の利益が当該使用により害されるおそれがある場合に限る。

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