不競法2条1項19号 ドメイン名に関する不正行為

 本号では、不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名を取得、保有、使用する行為を不正競争として規定しています。

 ドメイン名は、基本的に先着順の登録になっています。このため、有名企業の名称や著名な商品名称等を使用してウェブサイトを作成して業務が行われるケースもあり得ます。このようなケースは、有名企業の信用等にフリーライドしたり、有名企業の信用を傷つけることが考えられます。また、取得したドメイン名を有名企業等に高額で転売する(買取を強要する)ことも考えられます。

 このような状況をふまえ、ドメイン名の不正取得行為等を、不正競争として規制することにしています。

要件1「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で」
 不正の利益を得る目的とは、公序良俗、信義則に反する形で自己又は他人の利益を不当に図る目的のことです。また、他人に損害を加える目的とは、他者に対して財産上の損害、信用の失墜といった有形無形の損害を加える目的です。
 この要件に該当する例が、(i)当該特定商品等表示の使用者に不当な高額で買い取らせるために、当該特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名を先に取得・保有する行為や、(ii)他人の特定商品等表示を希釈化・汚染する目的で当該特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名のもと、アダルトサイトを開設する行為、です。

要件2「特定商品等表示」
 特定商品等表示とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するもののことです。ここで、特定商品等表示に該当するためには、不競法2条1項1号、2号における「商品等表示」と同じく、表示が自他識別機能又は出所識別機能を備えていることが必要です。したがって、自他識別機能、出所識別機能を「有しない」普通名称や慣用表示、自己の氏名等については、特定商品等表示には該当しないものと考えられます。


 なお、本号の不正競争に関しては、不競法3条、4条、5条に基づく差止請求及び損害賠償請求等が可能です。


・不競法2条1項19号

(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
十九 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為


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