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(~'21/10/07)不競法2条2項~11項 定義

 不競法2条2項~11項は、不競法で用いられる語句の定義がなされています。

 不競法2条2項で定義されている「商標」とは、商標法2条1項に規定される商標です。また、不競法2条2項で定義されている「標章」とは、商標法2条1項に規定される標章です。商標、商標には立体的形状が含まれますので(商標法2条)、マークではなく立体的な形状だから商標ではないという考えは誤りです。

 不競法2条4項で定義されている「商品の形態」は、需要者が「通常の」用法に従った使用に際して知覚(視覚及び触覚)によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感のことです。
 通常の用法が前提なので、普通は分解しない商品を分解した場合、分解後の内部形状は、商品の形態ではありません。

 不競法2条5項で定義されている「模倣」は、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことです。
 依拠性は、既存の他人の商品等に基づいて、新たな商品を作った場合に認められます。このため、偶然、既存の他人の商品等と同じ形状となった場合は、依拠性は認められません。実質的同一とされるのは、同種商品間における商品形態を比較して、商品の全体から見て重要な意味を有する部分が実質的に同一である場合です。

 不競法2条6項で定義されている「営業秘密」は、一般的に企業内で秘密として管理されている情報です。具体的な定義は、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの、です。つまり、営業秘密と言えるためには、秘密管理性、有用性、非公知性、が必要です。

 不競法2条7項で定義されている「限定提供データ」は、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報です。ただし、秘密として管理されているデータは、限定提供データではありません(限定提供されていないから)。
 限定提供データの具体例が、会費支払により提供を受けられるデータです。

 不競法2条8項で定義されている「技術的制限手段」には、大きく分けて2つがあります。一つ目がコンテンツの視聴等を制限するために、そのコンテンツとともに記録媒体に記録等されるものです。二つ目が、特定の者に限って、コンテンツ視聴等ができるようにするために、コンテンツを一定のルールで変換等するものです。

 不競法2条9項で定義されている「プログラム」は、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものです。
プログラムとデータが混在している場合は、捉え方が難しいですが、基本的にある結果を得るために必須のデータやパラメータであれば、それらのデータはプログラムの一部を構成するものと考えられます。
 仮にプログラムにバグがあっても、プログラムとしての保護が受けられます。これは、バグがないことの証明は不可能なので、バグがあれば保護が受けられないとすると、プログラムが保護されないことになるからです。

 不競法2条10項で定義されている「ドメイン名」は、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合です。ドメイン名は、インターネット上の住所、と言われることもあります。このため、企業内部のみからアクセスできるイントラネット上のアドレスはドメイン名ではありません。

 不競法2条11項で定義されている「物」は、プログラムを含むとしています。


・不競法2条2項~11項

(定義)
第二条
2 この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。
3 この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項に規定する標章をいう。
4 この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
5 この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
7 この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く。)をいう。
8 この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
9 この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
10 この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
11 この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。


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