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不競法7条 書類の提出等

 不正競争によって営業上の利益が損なわれた場合、その損なわれた利益は不正競争を行った側の売り上げ等を調べないと分からない場合があります。このような場合、裁判所は、損害計算のために必要な書類提出を命ずることができます(不競法7条1項)。この書類提出は、「正当な理由」があれば拒むことができます(不競法7条1項)。

 ここで、損害計算のために書類を開示すると、書類に記載された営業秘密が(開示したくないのに)開示されてしまうことも考えられます。
このような事態を避けるため、営業秘密等が含まれている場合には、開示しないことについての「正当な理由」があるか否かを判断する、裁判官のみによるインカメラ審理手続が採用されています(不競法7条2項)。
このインカメラ手続きのために提出された書類は非開示です(不競法7条2項)。

 裁判官のインカメラ審理手続だけでは書類提出をしない「正当な理由」があるかどうかも分からない場合があります。このような場合には、訴訟代理人等の意見を聞くことができます(不競法7条3項)。この書類を開示した訴訟代理人等については、当事者の申立てにより裁判所が秘密保持命令(不競法10条)を発することができます。


・不競法7条

(書類の提出等)
第七条 裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
3 裁判所は、前項の場合において、第一項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
4 裁判所は、第二項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第五章第二節第一款に規定する専門委員に対し、当該書類を開示することができる。
5 前各項の規定は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。


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