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パリ条約7条の2 団体商標の保護

 パリ条約7条の2では団体商標の保護が規定されています。しかし、団体商標の定義まではされていません。
 
 団体商標とは、「広くは、団体商標の所有者である団体の統制のもとにその団体の構成員ないしその団体が指定する者に係る商品又はサービスについて地理上の原産地その他の共通の特徴を表彰するために用いるものをいう」ようです(後藤晴夫(著)『パリ条約講話 第13版』(発明協会, 2007)P.436)。
注:「表彰」は誤字と思いますが、そのまま記載しています。

 団体商標のポイントは、商標権所有者である団体と、商標使用者である団体構成員とが別であることです。つまり、商標権所有者である団体は、基本的には、商標を使用しません。また、団体商標の団体には、国、公共団体が含まれません。これは、パリ条約2条、6条の3で保護されるためです。

 パリ条約7条の2(1)の本国とは、団体の本国です(パリ条約6条の5の本国は、商標の本国)。本国の法令に反しない団体とありますが、本国の法令に合致していることの積極的証明までは不要です。ただし、法令違反が発覚した場合、商標の保護拒絶も可能です。また、登録・保護を約束するとしているため、登録・保護の義務を負いますが、立法義務までは負いません。団体は他人が団体商標を使用するのを管理・監督するだけです。このため、団体が工業上商業上の営業所を所有することは義務付けていません。

 パリ条約7条の2(2)では、団体商標の保護に関する特別の条件を定めることが出来ることが規定されています。我が国では、大正10年商標法の下では、団体商標の出願の際には、定款の添付が義務付けられていたようです(後藤晴夫(著)『パリ条約講話 第13版』(発明協会, 2007)P.438)。
公共の利益というのは、パリ条約5条C(3)の公衆の利益と同様な概念であり、パリ条約6条の5B(3)の公の秩序よりも広い概念です。

パリ条約7条の2(3)では、団体の要件緩和が規定されています。本国とは、団体の本国です。なお、パリ条約6条の5の本国は、商標の本国です。

・パリ条約7条の2 団体商標の保護

(1) 同盟国は,その存在が本国の法令に反しない団体に属する団体商標の登録を認めかつ保護することを約束する。その団体が工業上又は商業上の営業所を有しない場合も,同様とする。
(2) 各同盟国は,団体商標の保護について特別の条件を定めることができるものとし,また,公共の利益に反する団体商標についてその保護を拒絶することができる。
(3) もつとも,その存在が本国の法令に反しない団体に対しては,保護が要求される同盟国において設立されていないこと又は保護が要求される同盟国の法令に適合して構成されていないことを理由としては,その団体に属する団体商標の保護を拒絶することができない。

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