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パリ条約5条の2 工業所有権の存続のための料金納付の猶予期間,特許の回復


1.パリ条約5条の2(1)

 特許権等の工業所有権の存続には、所定の料金(年金とも呼ばれます)を、所定の期間内に納付する必要があります。

 パリ条約5条の2(1)では、この工業所有権の存続のための料金を所定期間内に納付できなかった場合の猶予期間について規定されています。

パリ条約5条の2(1)の猶予期間は、特許・実用新案・意匠・商標の全てに適用があり、少なくとも6月です。見方を変えると、国内法令で6月よりも長い猶予期間を設けるのは自由です。日本での猶予期間は6月であり(特許法112条1項)、割増料金の支払が必要です。

 なお、パリ条約5条の2(1)で規定されているのは「工業所有権の存続のために定められる料金の納付」なので、権利発生(設定登録)に関する納付期間には、この猶予は適用されません

2.パリ条約5条の2(2)

 パリ条約5条の2(2)では、料金不納で失効した特許権を復活させる規定を定めることができることが規定されています。「定めることができる」なので、裁量規定です。

 日本では、特許権者が権利回復を求められる期間は、追納期間の経過後最大1年です(特許法施行規則69条の2第1項)。このため、特許権の特許料納付期限経過後、1年6月間は、特許権が復活する可能性があるといえます。


・パリ条約5条の2 工業所有権の存続のための料金納付の猶予期間,特許の回復

(1) 工業所有権の存続のために定められる料金の納付については,少なくとも6箇月の猶予期間が認められる。ただし,国内法令が割増料金を納付すべきことを定めている場合には,それが納付されることを条件とする。
(2) 同盟国は,料金の不納により効力を失つた特許の回復について定めることができる。


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