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パリ条約4条の2 各国の特許の独立

 パリ条約4条の2では、各同盟国における出願、特許は、同じ発明についての他の同盟国等(同盟国以外の国を含む)における出願、特許と独立したものであることを規定しています(パリ条約4条の2(1))。

 ここで、独立とは、権利の発生、変更、消滅、存続期間、権利範囲の解釈について他国特許・出願に従属しないということです。言い換えれば、他国で拒絶されたことを理由として、拒絶するというのは許されません。一方、他国の審査結果を参考にして拒絶する結果となった場合は問題ありません。
この「独立」に関して注意すべきなのは、権利行使に関する独立までは規定されていないということです。つまり、権利消尽の問題に関して、パリ条約4条の2を根拠とすることは出来ません。

 基礎出願に付与された特許から、優先権を伴って出願された特許は独立しています(パリ条約4条の2(2))。

 特許の存続期間の始期は、優先権を伴って出願した第二国出願の出願日から計算されます(パリ条約4条の2(5))。このため、存続期間の始期・終期を第一国出願日から起算することはできません。日本では、優先権を伴う特許出願の存続期間は、わが国の現実の出願日から起算することになっています(特67条1項)。

 なお、パリ条約自体が、領域主権(領土主権)の原則を前提とした調整規定です。属地主義というのは、領域主権(領土主権)の原則の一部をなすものです。パリ条約は、そのような経緯で設けられた条約なので、パリ条約には属地主義に関する条文はないと理解しています。


・パリ条約4条の2 各国の特許の独立

(1) 同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は,他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとする。
(2) (1)の規定は,絶対的な意味に,特に,優先期間中に出願された特許が,無効又は消滅の理由についても,また,通常の存続期間についても,独立のものであるという意味に解釈しなければならない。
(3) (1)の規定は,その効力の発生の際に存するすべての特許について適用する。
(4) (1)の規定は,新たに加入する国がある場合には,その加入の際に加入国又は他の国に存する特許についても,同様に適用する。
(5) 優先権の利益によつて取得された特許については,各同盟国において,優先権の利益なしに特許出願がされ又は特許が与えられた場合に認められる存続期間と同一の存続期間が認められる。

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