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パリ条約9条 商標・商号の不法付着の取締

 パリ条約9条では、不法に商標・商号が付された物の取り締まりについて規定されています。

 「不法」というのは、正当な権限がなく、という意味です。この不法には、客観的に見て正当な権限が無ければ該当します。つまり、正当な権限が無いことを知らなかった場合であっても、ライセンスを受けていなさそうな商標が付された物、は不法に該当します。不法に商標が付された物等は、国内法が認めている場合には輸入差押ができます(パリ条約9条(1))。
 同盟国の国内法令が輸入差押を認めていない場合には、輸入禁止、国内での差押えが認められます(パリ条約9条(5))。

 また、不法に商標等を付した国と、輸入された同盟国とでの差し押さえができます(パリ条約9条(2))。つまり、輸出した国と輸入した国の両方での差し押さえです。

 差し押さえ請求の主体は、当局又は利害関係人です(パリ条約9条(3))。利害関係人は、不法付着により法律上の利益を害される者のことです。この利害関係人の具体例が、商標権者や専用使用権者です。ただし、パリ条約10条(2)の場合も含まれます。

 不法な商標等が付された物が国内を通過するだけの場合には、取り締まりをしないという選択もあり得ます(パリ条約9条(4))。

 最後のパリ条約9条(6)は経過措置です。パリ条約9条(1)~(5)の規定に適合する国内法令を整備するまでの間は、内国民に保障された手続等が認められます。我が国では、不正競争防止法、関税法、関税定率法などがあります。

・パリ条約9条 商標・商号の不法付着の取締

(1) 不法に商標又は商号を付した産品は,その商標又は商号について法律上の保護を受ける権利が認められている同盟国に輸入される際に差し押さえられる。
(2) 差押えは,また,産品に不法に商標若しくは商号を付する行為が行われた同盟国又はその産品が輸入された同盟国の国内においても行われる。
(3) 差押えは,検察官その他の権限のある当局又は利害関係人(自然人であるか法人であるかを問わない。)の請求により,各同盟国の国内法令に従つて行われる。
(4) 当局は,通過の場合には,差押えを行うことを要しない。
(5) 同盟国の法令が輸入の際における差押えを認めていない場合には,その差押えの代わりに,輸入禁止又は国内における差押えが行われる。
(6) 同盟国の法令が輸入の際における差押え,輸入禁止及び国内における差押えを認めていない場合には,その法令が必要な修正を受けるまでの間,これらの措置の代わりに,その同盟国の法令が同様の場合に内国民に保障する訴訟その他の手続が,認められる。

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