地中海料理《たことじゃがいものトマト煮》のつくりかた
日本では夏の風物詩として知られる、たこ。タウリンや亜鉛といった疲労回復効果の期待できる栄養素が豊富に含まれているため、暑さに疲れたいまの時期に食べるという方も少なくないかもしれませんね。
そもそもたこは、日本では一年を通じて大人気。なんとその世界での漁獲量の約半数が、日本で消費されているそうです。
ところでヨーロッパはというと、伝統的にたこを食べるという文化を持つ国はそれほど多くはありません。たとえば、スペインやポルトガル、ギリシャなど、そのほとんどは地中海沿岸に位置する国々です。
その詳しい理由については、また別途機会を設けてご紹介できればと思いますが、本日ご紹介する料理は、そんな地中海周辺で作られるような【たこのトマト煮】です。
地中海風《たこのトマト煮》のポイント
たこというと、じつにいろいろな食べ方があります。たとえば、プリプリした食感を楽しむたこ、そして、やわらかくなるまで煮込んだたこ。
それぞれの美味しさというのがあって、とても迷うところなのですが、今回の料理でいうと、目指すのはズバリ後者のたこです。
やわらかくなるまで煮込んだたこの旨みが野菜と溶け合う、そんな美味しいひとなべ料理を作っていきます。
材料
レシピの流れ
作り方① 材料を切る
たこは煮ると縮むので、ひと口大よりは少し大きめに(なんでしたらもっと大きくてもいいです、お好みで)。
じゃがいもはしっかり芽をとってひと口大に。香味野菜(玉ねぎ、セロリ、パセリ、にんにく)とトマトは、ざく切りにしておきます。
下ごしらえはこれだけ。とてもシンプルです。
ちなみに今回のレシピでも、トマトは冷凍したものを使ってもかまいません。コクと旨みがより増しますよ。
作り方② 野菜を炒めて風味をつける
厚手のなべにオリーブオイルとにんにくを入れて火にかけ、しっかり香りが立ったら玉ねぎ、セロリ、パセリを炒めます。
香りづけに白ワインを振り、再び煮立ったらアルコール分を飛ばしてトマトを投入。ここで一緒にスパイス(パプリカパウダー、ナツメグパウダー)を振って炒めておくと、香りがよくなります。
スパイスはお好みのものでかまわないのですが、今回はトマトのコクを増すために、(辛くはないけれど)スパイシー感を出してくれるパプリカとナツメグを入れています。色合いも風味もよくなって、これで一気に【異国情緒あふれる地中海の料理】感がアップします。
作り方③ たこを加えて煮る
いよいよ、主役のたこを加えて煮ていきます。
たこを入れて、再び煮立ったら、たこの身をやわらかくしてくれる炭酸水を注ぎます。これはヨーロッパでも、そして日本でもよく使われる方法ですが、もしなければ水でもかまいません。
むしろそれよりもずっと大事なのは、ここでたこを30分以上煮るということ。たこやいかは、だいたい弱火で蓋をして30~40分くらい煮ると簡単にかみ切れるくらいにやわらかくなります。そのあいだに野菜もやわらかくなり、旨みが互いに溶け合ってきます。
作り方④ じゃがいもを加えて煮る
そして最後に、今回のもうひとつの主役、じゃがいもを入れます。
じゃがいもをあと入れするのは、もちろん最初から煮込むと煮くずれてしまうからです。
しかしこのじゃがいもが、ほっくりとても美味しくて、むしろたこの旨みを吸ったこのじゃがいもが楽しみだったりもするわけです。
使うじゃがいもにもよりますが、だいたい10分ほど煮てくださいね。
できあがり。
じゃがいもはほっくり、たこはやわらか。濃厚なたこの旨みと、トマトのコクと酸味、スパイシーな香りがたまりません。
異国情緒あふれるスパイシーさとたこの旨み
地域にもよりますが、ヨーロッパのたこは、日本のものと比べるとやや大味というか、水っぽいようなもののほうが多いような気がします。
海に近い所でいただく、軽く茹でたりグリルしただけのプリッとしたたこはもちろん美味しい。でも、こうして野菜と一緒にやわらかくなるまで煮込んで食べると、滋味深いような旨みがしみ渡ってそれもまた美味。
なにより、どんなたこでもたいてい美味しくなって、たこの旨み・風味があふれ出し、安定した味に仕上がります。スパイスが入るから、全体にメリハリが出て味が引き締まりますしね。まさに美味しいものを食べるための、ひとつの知恵でもあるのでしょう。
今回はほっくり煮えたじゃがいもが入っているので、それだけでも食べごたえがありますが、パンなどを添えて食べるのはもちろん、これをパスタソースのようにしたり、リゾットのようにお米と合わせるのもまたおすすめです。
食欲をそそるスパイシーさもあって、日本の「たこのさくら煮」とはまたちがった味わい深さ。たこってこういう美味しさもあるのだな、と、うれしい発見がもらえる、そんなお料理です。
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