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バカリズムライブ

 バカリズムライブ「信用」二日目の公演を見に行きました。

 お笑いライブを生で見ると、家で見ているのと違ってその会場ならではの空気=周りのお客さんのリアクションをよく感じます。

 僕は正直それが苦手でした。

 というのも、僕は空気を読んで行動してしまう性格なので、周りのお客さんがどこで笑っているか、どんな笑い方をしているかなど、とても気にしてしまうからです。

 映画や舞台などは、笑いどころがそうそうあるわけではないので、比較的集中して観ることができるのですが、お笑いライブはというと、主催者側は”笑わせ”にきているし、お客さんは”笑い”に来ているという異様な空間なので、どうしても周りの笑い声に敏感に反応してしまいます。

 今までにいったお笑いライブには、家で見てたら笑えるんだろうけど、なぜか会場では心の底から笑えないことがありました。

 決してライブがつまらないからではありません。おそらく、僕が学校で声がでかくてヒエラルキーの高いやつの繰り出す、周りを巻き込む明るい陽の笑いに嫌悪感を抱いてしまうからだと思います。

 それは自分がそういう人間になれなかったことによる劣等感以外の何物でもありません。

 そういう陽の笑いは好きなのだけど、いざ自分がその場にいると、何か大きな力で自分が吸い寄せられているような気がして、「嫌だなあ」と思ってしまいます。

 何が言いたいのかというと、バカリズムさんのライブは、そうした周りを巻き込むようなライブではなく、一人一人の感性に向いた、めちゃくちゃ面白いライブだったということです。

 始まる前は、今日は心の底から笑えるかなと不安な気持ちがありました。

 けれど、バカリズムさんのネタが始まるとそんな不安は身体の内側から破られ、自分とネタをやっているバカリズムさんだけの世界ができました。

 どのネタも毒や黒い感情が放出されたネタで最高でした。

 特に清掃員のネタは、紳士に見えるおじさんの醜い心の内が徐々に露わになっていくところがめちゃくちゃ面白かったです。

 印象的だったのは、ネタ終わりにバカリズムさんが登場されたときに、いつもの冷徹で高貴な印象のバカリズムさんとは違い、安心した笑顔で「あそこの部分伝わってよかった~」と仰っていたことです。

 唯一無二の天才に見えるバカリズムさんでさえも、ウケるために必死でネタを考え、改良しているんだろうなと思い、驚きました。

 「お笑い実力刃」でザキヤマさんがバカリズムさんについて「本当はウケたい人だもんねえ」と仰っていたことを思い出しました。

 独りよがりのネタでは誰も笑ってくれないし、伝える努力を極限までできる人が面白くなれるのだということを学びました。

 うまく笑えない、性格が悪いで悩んでいるあなた、是非バカリズムさんのライブに行ってネタを見て心の底から笑ってください。

 来年のバカリズムライブも楽しみです。





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