戦国の強さへの回帰を目指す「学問としての家政学」のアウトライン
過去に著された家政学の著作もろもろを目次だけ拾い読みしました。
時代的背景から考えて仕方ないことではありますが、いきなり各論から入っており、重要な各論を冒頭に、そこから重要度順に他の各論が並べてあるという構成で、一般論を掲げてそこから事実と関わっての各論の展開による構造論の展開という形になっていないのが、家政学ではなく家政論にしかなっていない過去の限界ではあります。
その代わり、その時代時代の特徴を見事に描いているものであり、こういった過去の著作を止揚して新しい学的体系に生かすことが後世の役目であると感じています。
ということで、タイトル回収として、アウトラインを描いてみたいと思います。
======================
『兵法、武道・武術の修業者および野生的日本人への回帰を志す人のための家政学概論』
第一部:「家政学・本質論」のための一般論
1.家政および家政学とは何か
2.政治的経済と家政との区別と連関
3.なぜ家政学に基づく家政の実践が大切なのか
4.人間にとっての生活一般
5.日本人としての生活一般
6.特に兵法および武道・武術を志す人のための生活とは
7.生活共同体と個人 支配なき自律的な共同体統括の在り方について
8.補論:野生と家畜 人間の自己家畜化と「一匹狼同士の群れ」であり続けた歴史的日本人の独自性と稀少性
第二部:「家政学・現象論」としての各論・具体論
1.近代生活一般の枠内での生活の整え方(現代生活にスポイルされないために)
2.資本主義による奴隷化=大衆化の圧力からの脱出(経済的自立の方法論)
3.近代的都市生活から自給自足への段階的発展(国家として実存できる生活共同体と個体の実力養成過程、あるいは「一にして全」の現象論)
4.生活共同体内における関わり方について(自律的個人と支配なき協働)
5.生活共同体の外界全般との関わり方について(特に国家規模の生産様式とどのような関係であるべきか)
6.生活することを通しての文化の創出と蓄積
7.次世代を担う者への教育の在り方
第三部:「家政学・構造論」 家政学とは何か再び
1.生存・継承・発展および外界との対峙
2.個人と生活共同体双方の良き生活のために
3.近代の発展的解消と歴史への回帰
4.縄文の豊穣を戦国の氷刃で鎧う、そして「一心(身)独立して一国独立す」
======================
およそ以上のような概観を今のところデッサンとして描いています。
全体の構成として、学問一般の成立過程をなぞる構成にしました。
(トマス・アクィナスの『神学大全』、ヘーゲルの『エンチクロペディ』を若干意識しています)
また、具体的な記述としてボリューミーになっていくのは第二部の現象論各論です。
これは自分の実践が蓄積していくにつれて、後世の役に立つようにより具体的な知見を盛り込んでいきます。
そして私が死んだ後も、もしこの試みを継承する人がいるのであれば、私のやりきれなかった個別の実践について追記してもらい、また適宜、時代に合わせて修正をしていってもらえるものにしてほしい、そのための余白を残してあります。
いま考えられる限りのものを振り絞って考えたものですので、個々の部分は将来的に変わる可能性無きにしも非ずですが、構造としてはおよそ変わらないであろうと言えるくらいには、学問的修練を積んできたつもりです。
そして、内容としても、いわば「絶対精神」としての論から、「絶対概念」として大きく主体性を絡めた内容となるように順次説いてあります。
ここを叩き台にしてまた実践を積み、より充実した内容の、「今様の『武州傳来記』」となるべく執筆していきます。