この笑顔を見るために仕事はあったんだ〜感謝のキモチ〜
ホントにありがとね
この言葉を聞いたとき、それまでの疲れはふっとんだ
もう15年ほど経つのだろうか
かつて電話工事の会社で
光回線の工事をしていた時のこと
俺が働き始めた時、世は空前の光回線ブームだった
それまで電話回線を使用してインターネットに接続していたものが
光ファイバーケーブルによって繋がり
しかも速度も速くなるという
世間はこぞって光回線の契約に走った
その結果、申し込みから開通までは早くて1ヶ月
土日指定とかであれば2ヶ月3ヶ月待ちなんて
当たり前であった
まだ光回線はNTTの独占市場であったので
自ずから電話工事会社に仕事が回ってくるのだ
激務に次ぐ激務
入社半年もしないうちに、班長に指名され
1日に数件も現場を持たされた。
まず終わらない。
技術もまだまだ、要領も良くない
ちなみに一件あたり2時間ほどはかかる
今だからこそ言えるのだが、
当時は朝6時から夜10時くらいまで
現場に出てることもよくあった。
あ、ダメなんですよ、いろいろと(笑)
勤務時間もさることながら、道路使用許可が
9時から17時なのですから。
“忙しい“は心を亡くすと書く
その当時はもう忙しいなんてもんじゃないので
当然のことながら笑顔なんてなかった
ひたすら仕事をこなすことしか考えていなかった
そんなある日
一軒のお宅で工事していた時のこと
ようやく工事も終わり、次のお宅へ移動しようと
「工事終わりましたー」と告げると
そこのうちのおばあちゃんが出てきて
「ホントありがとね、申し込んでから今日まで
ずーっと待ってたのよ。これでインターネットが
使えるのね」
と言って嬉しそうに笑ったんだ。
そして、お茶のペットボトルと缶コーヒーを差し出して
「おつかれさま」と。
その笑顔を見た時に
こちらも満面の笑みで
「ありがとうございました。お待たせしてしまってすみません」と
返した。
あぁ、この笑顔を見るために仕事ってあるんだな。
毎日毎日、仕事に追われて
メンドクセーなぁ、1日に何件あるんだよーっ
とか思っていたのが恥ずかしく思えてきた。
みんな楽しみして待ってるんだな。
そのために俺たちの仕事はあるんだな。
それ以来、どんなに忙しくても
笑顔だけは絶やさないって決めたんだ。
お客さんの笑顔が見たい
それが働く意欲に繋がっていく
人間的にも一つ成長できたような気がした
そんな昔を思い出して
懐かしく思ってしまう今日この頃であった