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価値のないものに、特別な価値を吹き込む

今回は、自分語りからの、僕なりの「ブランディング観」についてお話させていただきます。

(この記事は、2023年7月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えて公開しています)


価値のないものに、特別な価値を吹き込む


うちの長男が小学校5年生の夏休みに入ったのですが、自分自身の小学校5年生の夏休みの記憶といえば、わりと鮮明です。

僕は小学校から大学卒業までボーイスカウトをやっていた、という話は何度かさせてもらっていますが、それはもう子どもの頃からのガチな「タテ社会」でして。

小学校5年生というと、4年生、3年生の面倒を見る兄貴分の役割で、夏休みにはキャンプがあり、6人くらいの小さな班をまとめる「班長」として生活をします。

キャンプの最終日には閉会式の表彰がお決まりのセレモニーになっていて、「最も団結して生活態度の良かった班」とか「最も活躍した模範の人」とかが「最優秀賞」として大人から表彰されるんですが、

僕の場合は、5年生の夏には栄誉ある「最優秀スカウト賞」、つまりMVPに当たるものをもらっていました。

優秀な管理職の素地は、この少年期のタテ社会で育まれたようです🧐


さて、今思い返すと、この「表彰」というシステムがなかなかすごくて、

大勢の前で呼ばれて、大人からもらう祝辞とか、渡される賞品というのは、子どもながらにプライスレスで意義深いものです。

渡されるものといえば、アメリカンビンテージのワッペンとか、そんな何でもないものなんですが、

それがその辺の日本の店とかではなかなか見かけないようなものだったりすると、妙にハッタリが効いているというか、

レア感があって「かっこいいな〜」と思ってしまって、家に帰ってからザックに縫い付けてもらうんです。

そうすると、次にそのザックを背負って活動に行くと、みんながそれを羨ましがるんですね。

いろんな活動に出てまた表彰されると、だんだんいろんなワッペンが増えて、次第にそのザックが賑やかになっていく。

キャンプに来ない奴とかはずっとザックが綺麗なままで、見た目に明らかな序列がついていくんです。

空白が埋まっていくザックを眺めていると自尊心が湧いて、もっとがんばろうと思えるんですよね。

すごい効果だと思います。


こういう仕組みが通用するのはしょせん子ども騙しかというと、全然そんなことはないと思っていて、

勲章」なんてまさにそのものですし、たとえばゲームの世界でもデジタル化された「トロフィー」がミッションクリアの報酬として機能しています。

今いるビジネスの現場にも、そういった表彰の工夫は応用できると思っています。


オリンピックの金メダルは、それ自体の原価は5万円ほどだと言われますが、それ以上の価値は計り知れません。

選手は、「金のため」ではなく「金メダルのため」に、それを勝ち取るために人生を懸けて取り組んでいます。


みんながその「金メダル」に「価値」を認めたから「価値あるもの」になる。
みんながその「ワッペン」に「価値」を認めたから「価値あるもの」になる。


ワッペンは、外に持っていったらただのペラペラのワッペンですが、
少なくともそのキャンプに参加してメモリアルな表彰の場にいた50人の中では特別な価値を持ちます。
そして、みんなが羨ましがるから、それが「価値のあるもの」だと信じます。


「価値」のないものに、「価値」が生まれる。
これは、ブランディングそのものです。


「ブランド」とは、「焼印」という意味ですから、ブランドロゴそれ自体にはそもそも何の価値もありません。

スタバのマーメイドのロゴを見て「ホスピタリティ」を連想したり、
アップルのりんごのロゴを見て「クリエイティビティ」を連想したり、

ロゴ自体にはもともとそんな意味はないのですが、人々がそれを見たときにそのロゴに「ブランドイメージ」だったり、

安心感」だとか「信頼感」だとか「親近感」だとかの価値を感じます。


だからF&Pでも、F&Pの八角形ロゴを見る人がそこに特別な価値を感じてもらえるように、価値を与えていく作業を、計算的に、永続的にやっています。

F&Pロゴが、健康的なライフスタイルだとか、からだを思うウェルネスの「象徴」になったとしたら、

多くの人に認知されるほど、特別な「価値あるもの」になります。

(加盟店さんの壁にも、自宅の冷蔵庫にも、きっと自発的に掲示してもらえるようになるでしょう)


それは宣伝にお金をかけることでも、プレスリリースを打って露出を増やすことでもなくて、

ただただ人々の信頼に応えて地道に企業活動を重ねていくことでしか、作り上げることはできないと思います。

信頼を積み重ねる、という意味では人間関係と同じですよね。


さて、子どもたちが夏休みを怠けないように、先月から我が家にも表彰システムを導入しました。

このペラペラのタペストリーがこれからバッジで埋まっていくように、生活習慣を自律していろいろ励んでほしいと願っていますし、

そのために、この何でもないバッジが家庭内で特別な「価値」を持ってくれるように、親としては仕掛けていきたいと思います🏅

2023年7月
2024年7月

(この記事は、2023年7月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えて公開しています)


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