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書評「サッカー間で受ける解剖図鑑」

僕が初めて星翔太さんの試合を観に行った時に感じたのは「なんて間でボールを受けるのが上手い選手なんだ」と。相手の動きの逆を取ってボールを受けるのが上手いのです。後で本人に話を聞いたところ、多くのことを考えながらプレーすることで、相手の逆を取れていることが分かりました。星さんからプレーの話を聞くのは楽しく、多くのことを学ばせて頂きました。

本書「サッカー間で受ける解剖図鑑」は、2022年で現役を引退したフットサル元日本代表の星翔太さんが自身がキャリアを通じて培った「間で受ける」についてまとめた書籍です。

本書のポイントは「間で受ける」というタイトルですが、「間」ではなくサッカーでは「球際」と呼ばれる「相手と接触しても受ける」方法を解説しているところです。相手を背負う、相手を手を使う、キープするといった身体を使ってボールをどう扱うのか。そこが出来ないと「間」ではボールを受けられないと書かれています。

つまり本書は「間(あいだ)で受ける」というタイトルがついている本ですが、「間(ま)で受ける」とも読める本だと思います。いかに「間(ま)」を使いこなすか。そのことについて書かれている本なのです。

そう捉えると、星さんが本書の対談相手に家長選手を希望したのは納得がいきます。家長選手も「間(ま)」を上手く使いこなしてボールを受け、相手を抑え、相手をコントロールできる選手です。家長選手のボールキープはフットサルの選手がよく使うキープに似ていて、星さんが得意としていたプレーでもあります。身体を使ってボールをキープできるから間で受けられるのだということがよく分かる対談になっているので、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。

なお、本書で紹介されている「キープ相撲」というトレーニングがあるのですが、このトレーニングはなでしこジャパンが繰り返しトレーニングしているメニューです。なでしこジャパンは間で受けるために複数の選手が連携する戦術を採用しているのですが、間で受ける戦術を採用しているチームが身体を使ってキープするメニューを取り入れているのは面白いなぁと思っていたのですが、本書を読んでその理由が分かりました。

「間で受ける」とは、相手を外して接触せずに受けることだと思っている人にこそ読んで欲しい1冊です。


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西原雄一
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