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神楽坂を少し過ぎて橋をわたるおれは 雨の予感かんじながらひとりきりで歩く 切れるくらい頬を…
妖精さんが死にました 古い納屋には黄色い呪文 魔法にかけられ動く人 叢雲を青に変え どくどく…
この日わたしが見たものは すべて星月夜にとける この街にいる生き物の 固有の音を透過する わ…
わたしがいる時間には日がすこし陰り空気に灰がまじるわたしはいつも空になって泥のついたペッ…
過去を語るときの空を見る 子どもになる前のいきもの 生まれたての熱が溶けていく アスファル…
わたしがいつか泣いたのは きょうへとつづくことはなく ひとりきりには遠い場所 しきりに鳴い…
てらてら光る都市の明かりに 所在なさげに空を泳ぐ 意識がある ものだけ生きていること に錆びの影から気づくなど おれが故郷を思っても いない彼らにあげるものなど 金がないからできないという 学ばない人ばかりいる この街からは どの場所に続く 切れ端ばかりの社会で 生きる生きない を繰りかえす 言葉はなにも生まないし 少なくとも夜を越えない 続けることだってできるし できないことの方が多いから 悩んでないのに苦しい たまに花に変わるやつがいる
あつい雲のうえで揺蕩う光の線が、雲間を通り地にそそぐ。ゆらぐこと。自律的に駆動している。…
石をなげて空に消えていく 青色の絵の具が少なくなってきている 空を飛ぶ魚の図鑑 死んだあと…
バスルームの隅にかたまったまま動かない虫がいた。水滴がときおり触覚にあたり、流れ落ちるこ…
街にはリズムがあって、それが果てしなく感じられるときがある。耳鳴りが凪いでからふたたび鳴…
雲を染める夕陽が記憶にあるものよりもずっと濃かった 夏が来ていた 目線を下げると、アスフ…
消えた猫のもとめるもの モノローグの間は目を閉じて ごく手短に撫でろという だから消えたの…
まちかどにすわる犬 ゆうやけに照らされたまち 往来のくるまとひとを 犬はじっと あしたは晴れるよね うん ランドセルは金曜日のおわりに ボールとともにそらへとける 定め そしてゆうやけに再び こどもたちは月曜日を 予感する ランドセル色のそら あわない大きさのくつ おにぎりの形 まちかどにすわる犬