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【読書記録】ボランティアの教科書 できるときにできることをできる人がやればいい

おすすめ度 ★★★★☆

ボランティアにいいイメージがなかったのは、これまでの経験のせいだと思う。
小学校や子ども会では、ボランティアという名目で、強制的に清掃活動をやらされた。
PTAも「皆さん入ってますから」という同調圧力こわこわボランティアだった。

ボランティア=強制力、同調圧力、やりがい搾取
という歪んだ認知をもっていた。


会社をやめて、PTAもやめて、すべての強制力から離れたら、ボランティアに興味が出てきた。
毎日、好きなことをして呑気に過ごしていることに罪悪感を覚え、誰かの役に立ちたい、誰かに「ありがとう」って言われたい、という気持ちがむくむくしてきた。

ニュースなどで被災地ボランティアをみると、立派だなぁと思うようになった。
でも、自費で現地まで行って、自分の仕事を休んでまで、他人のために尽くすなんてとてもできない。
やっている人は聖人のような、自分とは違う世界の人だと思っていた。

わたしの気持ちは、ボランティア精神とは違うよな。もっと尊くて、自己犠牲的で美しく純粋な魂っ…って感じなんだろうな。

いや、でも本当のところどうなんだろう?ボランティアしている人は、本当にそんな聖人の集まりなんだろうか?

美談ではないところを知りたくて、この本を読んだ。(経緯長い)
結論、本当のところがしっかり書かれてる良い本だった。(結論早い)


著者は、もともと私と同じようにボランティアにマイナスイメージがあったし、「高い志と鋼の意志を持ってボランティアをしている!」タイプではない。
東日本大震災で、1回限りだと思って勢いで行動したら、そこからあちこちでボランティアをするようになった。謙遜もしてるだろうけど、「普通の人」。親近感を覚える。

困っている人がいたら、なにか助けになりたいと思う。
こう書くとやっぱり尊さが際立つが、人間としてごく自然な感情だと思う。
ボランティアの精神は、基本的にこれ。あとは、関心を持って行動に移すかどうかだけだ。


著者は支援の最大の敵は「無関心」だと書いている。何度も。
「自分には何もできない」「自分には関係ない」と思うことで、関心を失ってしまうことが一番もったいない。

誰もが被災地に行って貢献することはできないし、直接的な支援だけがボランティアではない。
本を読んで、ニュースを見て「知る支援」もあるし
現地に物資を送る、寄付する「送る支援」もあるし
SNSや周りの人に「伝える支援」だってある。
できるときに、できることを、できる人がやればいい。それがボランティアの本質だという。

え?それだけ?というくらい、それだけ。
何も特別じゃないし、遠い世界でもない。


そんなのボランティアって言えねえよ、といわれるとシュンとしてしまうので、ちょっとうれしくなった。私だってボランティアできてるじゃん。

福祉に関する本はたんまり読んでるし、本をきっかけに寄付を始めたものもある。知る支援。
今は毎月NPOやNGOに定額で寄付しているし、被災地に返礼品なしの寄付もよくする。送る支援。
このnoteの読書記録だって、ひょっとすると読んで興味を持ってくれる人がいるかもしれない。伝える支援。

私は、私にできることをしている。
そうポジティブに捉えていると、もう少し知ってみようかな、やってみようかなという気持ちになれる。
あと少しできることをしようかなという気持ちになれる。

自己犠牲的じゃないし、誰かのためを思う純粋な気持ちだけでもない、ただ少しだけ心と時間とお金の余裕をお裾分けして、自己満足を得たいだけかもしれない。
どうせやるならちゃんと役に立つことをしたいし、世の中を良くすることに使いたい。

ボランティアに正解はないから、私は、私にできることをしていこう。

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